金銀「GT-R」のヒミツ 制作者・井澤孝彦さんに聞くその技術、制作背景、反響

カスタムカー界隈では広く知られる、黄金色と白銀色に輝く日産「GT-R」。その制作者である井澤孝彦さんに、制作背景や技術のこと、反響など話を聞きました。実際のところ、どのように制作しているのでしょうか。

ボディ全体を彫り込む「エングレイビング」とは

——黄金の「GT-R」は圧巻ですね。ボディに直接、彫刻をしているのでしょうか?

 はい。「エングレイビング」という手法で、それ自体は昔からアメリカのカスタムカーにはよくありました。ただし、金属製のバンパーなど一部分で、ボディ全体にエングレイビングを行うことは誰もやっていなかったですね。ばく大な手間と時間が掛かりますし、その技術もなかったのだと思います。私が行うボディへのエングレイビングは、まずプライマー(下塗り塗料)を厚塗りしたボディパネルにマスキングを丹念に施して行きます。そしてフリーハンドできっちり左右対称となるよう下絵を描き、電動彫刻刀で掘っていきます。わずかなミスも許されませんね。コンマ1mm以下のミスをしてもすべて最初からやり直します。1台仕上げるのに塗装を含め、最低でも半年は必要です。

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井澤さんのペイントによる黄金「GT-R」のディテール。

——この金色の塗装も素晴らしいですね。

「3Dメタルペイント」と呼ばれる塗料で、原料メーカーと私が10年以上の歳月をかけて開発し、完成させました。顔料をナノ粒子まで砕くことによって透明感や光沢が非常に美しく出ます。また、特殊樹脂を配合することで約3年間の紫外線テストもクリアしています。エングレイビングをさらに立体的に美しく見せる効果があり、金色の他に銀色の塗料もあります。

 従来のクロームシステムやメッキ加工は変色や腐食が起こりやすく、車のボディ全体への施工は困難でしたが、この3Dメタル塗料は通常の自動車用塗料と同様、塗装ブースにてほぼ同じ工程で作業を行うことが可能です。最大の特長は、大変美しい金銀の光沢を発色しながらも、色落ちや色あせが起こらないこと。また、ボディ面はもちろんウレタンやFRP、アルミやステンレスなど自動車のボディに使われるほぼすべての素材に塗装できることも大きな特長です。ちなみに、銀色の「GT-R(KUHLJAPAN PROJECT R35GT-R)」は2015年1月開催の「東京国際カスタムカーコンテスト」で総合1位となるグランプリを頂きました。金色の「GT-R」を作ったのはそのあとですね。

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