クルマとは違う鉄道「中古車」事情 廃車タイミングや改造など事情あれこれ

中古車を買うのは中小私鉄だけではない

 ところで、一般的に中古車両は、JRや大手私鉄から中小私鉄に譲渡されるケースが大半ですが、なかには逆のケースもあります。

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大手私鉄が中古車を購入した例。南海電鉄は泉北高速鉄道の3000系を購入。泉北の余剰車両を有効活用している(児山 計撮影)。

 かつて名古屋鉄道はラッシュの混雑解消のため、東急電鉄の3700系電車を購入したことがありました。このときは大手私鉄が中古車を購入したということで鉄道業界では大変話題になったそうです。最近でも南海電鉄が子会社の泉北高速鉄道から、ダイヤ改正で余剰となった中古車両(3000系電車)を購入した例があります。なお、JR同士での車両売買は意外と多く、新幹線から機関車まで多くの例があります。

 珍しい例として、JR東日本が東京臨海高速鉄道(りんかい線)の70-000形電車6両を購入し、川越線用の209系3100番台としたケースあります。これはりんかい線とJR埼京線の直通運転拡大の際に、編成替えで余った車両をJR東日本が購入したものです。

 りんかい線は埼京線・川越線に乗り入れているため、川越駅(埼玉県川越市)では、りんかい線から来た70-000形と、移籍先で活躍するJR東日本の209系3100番台が並ぶ光景も見られます。

 鉄道車両の中古車情報は、専門誌や広告があるわけではないため、各鉄道会社の担当者が他社の廃車情報を入手しながら、どの車両が自社線に最適かを考えて導入しています。利用者の観点からは、中古車は、地元の通勤形車両が旅先で思わぬ姿に変身していたり、昔利用した懐かしい車両に出会えたりするなど、旅行や趣味をいっそう楽しませてくれる存在でもあります。

【了】

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Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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