戦闘機の「スーパークルーズ」ってなに? F-35はF-15より速いといえてしまう理由

超音速飛行、実はほとんどしていなかった?

 実のところF-15のような既存の戦闘機は、スクランブル発進時も含めマッハ0.8からマッハ0.9程度の旅客機と大差ない速度でしか飛行しておらず、最大でもマッハ1をほんの少し上回る程度までしか加速しません。

 F-15が普段音速以下でしか飛ばない理由は、飛行機がマッハ1付近にまで加速すると「造波抵抗(音の壁)」と呼ばれる抵抗が急激に増大することに原因があります。造波抵抗に打ち勝ち超音速までさらなる加速を実現するには、エンジン推力を造波抵抗以上に増大させる「推力増強装置(オーグメンター)」と呼ばれる機構を使わなければなりません。

 オーグメンターは「アフターバーナー」という別名でも知られますが、これを使うとエンジン推力は最低でも約1.5倍(地上静止時)に跳ね上がります。また高い速度になればなるほどさらに推力が増強されるという優れた特性をもっています。

 しかし、その代償として燃料消費量は最低でも5倍は増大してしまうのです。この燃料消費量は絶望的と言ってよいほどです。F-15は、非武装状態であればマッハ0.8からマッハ2.3まで加速するのに4分半を必要とします。仮に燃料満タン状態から加速を開始したとしても、この時点であと4分ほどアフターバーナーを使うと燃料がゼロになり墜落は免れません。

 ですから、F-15をはじめにジェット戦闘機は、有事の際においてすらアフターバーナーを「秒単位」でしか使うことができないのです。ほとんどの戦闘機は通常時マッハ0.9以下、そして戦闘時でもせいぜいマッハ1をちょっと上回るくらいしか発揮できないため、実際のところ戦闘機の最大速度値というのはマッハ2.5であろうがマッハ1.6であろうがほとんど関係ないのです。
 航空自衛隊の戦闘機パイロットたちも一部のテストパイロットを除き、そのキャリアのなかにおいてマッハ2以上を経験することは、これまでほぼありませんでした。

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コメント

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5件のコメント

  1. それはないね。
    民間機が飛んでいるのは約250ノット

    これはイーグルが基地にブレイクフォーメーションでRTBする時の速度と同じ

    だから君の話はありえない

    • 対地速度と対気速度の違いすら理解していらっしゃらないご様子ですが
      その程度の知識で何故ありえないと断言できるのでしょうか

  2. Wikipediaのスーパークルーズの項目には、スーパークルーズとは超音速飛行を持続できるというだけのことでアフターバーナーの不使用は必須条件ではない、といったことが書かれています。自分にはこの項目の信憑性までは判りません。対して本記事ですが、戦闘機に限定すればアフターバーナーの不使用がスーパークルーズに必須という現実があるでしょう。それならば本記事の表記も問題ないかもしれません。

    • コンコルドがその説明にいい例。
      アフターバーナー常用してるけどかなり長い距離飛べる。

  3. ありがとうございます!
    男なので小さい頃から戦闘機が好きでした。
    この記事を読み、最高速の秘密が分かりました。
    早い戦闘機が出てくる度に『東京から名古屋まで○分で到達するんだなぁ…』と思っていましたが実際には無理なんですね。
    とてもためになりました。
    ありがとうございました。