東京都「時差Biz」キャンペーンがスタート 時差通勤の「定着」に必要なコトは

混雑率が下がらなくなった根本的な理由

 これは鉄道の整備費用を補助する国や自治体の財政が厳しくなったことや、人口密集地域では建設用地の確保が難しく、新線の建設や複々線化に時間がかかるようになったことが背景にあります。また、沿線の人口が昔に比べて増えなくなり、この状態で新線の建設や複々線化を行っても鉄道会社の収入はあまり増えません。こうしたことも、抜本的な改善が進まない理由のひとつになっているといえます。

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複々線化の工事が行われていたころの小田急小田原線。1964年の都市計画決定から2018年の完成まで54年かかった(2013年3月、草町義和撮影)。

 ただ、ピーク時の混雑が激しいということは、逆にいえばピーク以外の時間帯はすいていて、余裕があるということになります。そこで考えられるようになったのが、時差通勤の促進です。

 列車がすいている時間帯に客が移ってくれれば、新線建設や複々線化のような膨大な費用をかけることなく、ピーク時の混雑を減らすことができます。客にとっても、ピークを避けることで着席通勤できる可能性が高まり、ぎゅうぎゅう詰めの圧迫感から解放されるというメリットがあるのです。

 しかし、時差通勤の促進による混雑緩和の考え自体は古くからあるものの、なかなか定着しません。鉄道事業者がいくら時差通勤を促しても、通勤先の企業や官公庁などの始業時間が同じ時間帯に集中している限り、実際に通勤する時間帯も大きくは変えることができません。本格的に定着させようとしたら、鉄道事業者だけでなく通勤先の企業や官公庁の協力も不可欠です。

 東京都の「時差Biz」の場合、鉄道事業者だけでなく通勤先となる企業約700社が参加。時差出勤や朝型出勤、フレックスタイム制、テレワークを導入するなどして、ピークの時間帯を避けて出社できるようにすることを目指しています。通勤先の企業などと一体となった取り組みが時差通勤の定着につながるかどうか、今後の動向が気になるところです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 成功の鍵は「着席率の向上」につきます。推奨されたオフピーク時間帯に乗っても列車本数や編成量数が少ないせいで やっぱり混んでいる ということでは 時差biz に協力する人が次第に減っていくでしょうから。