木造船いまだ現役、海自の掃海艇とその任務とは? 世界に貢献する技術の背景と今後

実は日本の戦後史を形作ってきた掃海部隊

 実は、日本の戦後史にとって、掃海部隊は非常に重要な存在でした。第二次世界大戦中、アメリカ軍は爆撃機や潜水艦を使って日本の周辺に大量の機雷を設置しました。そして、それらの多くは終戦を迎えても無力化されることなく日本の周辺海域を漂い続けました。そのため、戦後復興に必要な物資を海上から安全に運ぶことが非常に困難になっていたのです。そこで、旧日本海軍の軍人で構成された掃海部隊が、多くの犠牲をともないながらもまさに命がけで機雷を処分し、この状況を打ち破って戦後復興を支えたのです。

 このような背景もあり、戦後に発足した海上自衛隊は機雷を処分する能力が非常に重視され、現在では世界でもトップクラスの掃海能力と規模を誇る組織に成長しました。

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えのしま型掃海艇「えのしま」。船体は繊維強化プラスチック(FRP)製(画像:海上自衛隊)。

 さらに、自衛隊史上初の海外における任務を実施したのも、実は海上自衛隊の掃海部隊でした。1991(平成3)年の湾岸戦争に際して、イラクはペルシャ湾に大量の機雷を設置し、これによって石油を運ぶタンカーなどが安全に航行できない状態となりました。そこで、日本を含む9カ国の掃海部隊による、機雷処分活動が実施されました。そして、中東という厳しい環境の中で、海上自衛隊の掃海部隊はひとりの犠牲者を出すこともなく、無事に任務を完了しました。

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コメント

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1件のコメント

  1. 人手不足であるのに任務は増加するから地獄ですね。