木造船いまだ現役、海自の掃海艇とその任務とは? 世界に貢献する技術の背景と今後

これから先も消えない機雷の脅威

 このように、戦後日本は機雷の脅威と戦い続けてきました。しかし、まだまだその脅威は消え去りそうもありません。現在、尖閣諸島問題などによって我が国とのあいだに緊張が高まっている中国は、実は兵器としての機雷の価値を高く評価している国のひとつです。

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掃海母艦「うらが」(左)と、ひらしま型掃海艇「やくしま」。掃海母艦は、掃海艇の海外派遣など長期航海を支援する目的で建造された(画像:海上自衛隊)。

 機雷は、ミサイルや戦闘艦艇に比べて安価で大量に設置でき、しかも一隻数百億から数千億円もする高価で高性能な軍艦を沈めることができる恐ろしい兵器です。そのため、そこに機雷があるかもしれないという情報だけで、敵の海軍の動きを大きく制限することもできます。

 中国は、こうした機雷の特徴に注目し、戦争が起きた際に敵の軍隊を自国周辺に近づけない、自由に行動させないためのツールとして、さまざまな機雷を保有しているとされています。また、機雷を設置するための手段も数多く保有していて、軍艦や爆撃機はもちろん、漁船からも機雷を設置することができるとの分析もあります。

 もしも、中国が九州や沖縄の周辺に大量の機雷を設置すれば、アメリカ軍や海上自衛隊のみならず、民間の船舶も安全に航行することができなくなり、日本や世界の経済に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした事態に対処するためにも、今後とも海上自衛隊の掃海部隊は、機雷の脅威に立ち向かっていくことになりそうです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 人手不足であるのに任務は増加するから地獄ですね。