巨大自動車専用船の入港に密着 タグボートから見た着桟作業、大きな船はどうつなぐ?

クルマの海上輸送を担う自動車専用船、その船体は大きなもので小回りが利きません。港内ではどのように桟橋へと船を着けるのでしょうか。とある着桟作業に密着しました。

作業は「危険そのもの」

 タグボートは前述のような役割を担うことから、船体に似合わない高出力のエンジンを搭載しているのも特徴です。日本郵船所有でウィングマリタイムサービスが運行する「魁」は、全長37.20m、全幅10.20m、272総トンというサイズに、3236kw(4400馬力)のエンジンを搭載しています。たとえばいま着桟作業中の「ピスケス・リーダー」が6万9931総トンに対しエンジン出力は1万3750kwであるのに比べると、かなりパワフルなことがわかります。

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手前の「吉野丸」は引き、奥の「魁」は押している状態(2018年7月20日、乗りものニュース編集部撮影)。
タグボートが押してよい部分は船体にペイントされている(2018年7月20日、乗りものニュース編集部撮影)。
きっちり平行に着けていかないと、桟橋を壊す恐れも(2018年7月20日、乗りものニュース編集部撮影)。

 また、スクリュー部分はプロペラが水平方向に360度回転し、舵と推進を兼ねています。小型のボートなどに見られるものと同様な仕組みです。小回りが利き、水平移動が可能など、タグボートにうってつけなのです。そうした特徴があるのはもちろん、繊細な操船が求められる場面が多いからです。狭い港内、事故とは紙一重です。

「船というのは巨大な鉄のカタマリが浮いているわけで、それをタグボートで無理矢理動かそうというのです。作業は『危険と隣り合わせ』というよりも、『危険そのもの』であるということを忘れないようにしています。大きいものに対し自分たちのパワーで対処していますけれども、決して過信しないようにしています」(ウィングマリタイムサービス 松田船長)

 もちろん、細心の安全対策が敷かれ、そして熟練の技で作業は安全に進んでいきます。途中、風が強いことから、ウィングマリタイムサービスのもう1隻のタグボート「吉野丸」も作業に加わりました。風速にして、おおよそ7m/sから8m/s程度からタグボート2隻体制を検討し始め、15m/sくらいからは着桟を見合わせることも検討するそうです。

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作業完了後、大さん橋に繋がれる「ピスケス・リーダー」とタグボート「魁」(2018年7月20日、乗りものニュース編集部撮影)。

 やがて「魁」の先導開始からおよそ1時間半後、「ピスケス・リーダー」は無事、大さん橋に着桟しました。

 ウィングマリタイムサービスではこうしたタグボートの作業を、年間1万5531作業(2017年度)担当しているとのことです。

【了】

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