国内で見たらかなりマズい、日本未導入の弾道ミサイル迎撃システム「THAAD」とは

強みは機動力と迎撃率と…

 さきほど説明したように、「THAAD」は地上に落下してくる弾道ミサイルをターミナル段階で撃ち落とすための迎撃システムで、弾道ミサイルを撃ち落とすための迎撃ミサイル、その迎撃ミサイル8発を搭載する発射器、弾道ミサイルを探知したり迎撃ミサイルを誘導したりするためのAN/TPY-2レーダー、「THAAD」と衛星やイージス艦などほかのミサイル防衛用システムとを結びつける射撃管制通信装置という4つの装備から構成されています。

 実は、これらの装備は全て輸送機などによって輸送することが可能で、これにより「THAAD」は世界規模で必要な場所に速やかに展開できる能力を有しています。実際に、2013年には北朝鮮による弾道ミサイルの脅威を受けて西太平洋に浮かぶグアム島に急遽配備されたり、また2017年には同じく北朝鮮の脅威を受けて韓国への展開が行われたりしました。こうした能力は、もし日本列島が弾道ミサイルの脅威にさらされた場合に、アメリカ軍が日本に「THAAD」を緊急展開できることにもつながり、日本にとっても重要な能力です。

 さらに、「THAAD」はその能力の高さも強みのひとつです。2006(平成18)年以来、「THAAD」は15発の弾道ミサイル標的に対して迎撃試験を実施し、それらすべての標的を見事迎撃することに成功しています。つまり現在までの迎撃成功率は100%ということです。

 2000年代後半からアメリカ陸軍で部隊配備が開始され、2018年現在、主として「THAAD」を運用しているのもアメリカ陸軍ですが、アラブ首長国連邦やサウジアラビアなど中東への輸出にも成功しています。

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