国内で見たらかなりマズい、日本未導入の弾道ミサイル迎撃システム「THAAD」とは

弾道ミサイルの脅威への備えとして導入が決まった「イージスアショア」ですが、その検討段階では「THAAD」という迎撃システムの名前も挙がっていました。導入競争に敗れたものの、迎撃率は100%といい、今後も日本と無縁ではなさそうです。

日本で採用に至らなかったのはナゼ?

 このように、「THAAD」は非常に高性能な弾道ミサイル迎撃システムなのですが、ではなぜ、冒頭で触れたように日本は「THAAD」ではなく「イージスアショア」を採用したのでしょうか。

 これにはさまざまな理由が考えられます。まずは、使い道の広さの問題です。実は「THAAD」は弾道ミサイル防衛専用のシステムで、戦闘機や巡航ミサイルなどを迎撃することはできません。一方で、イージスアショアは運用するミサイルを使い分けることで、弾道ミサイルから戦闘機までさまざまな目標を迎撃することができます。つまり「THAAD」よりイージスアショアの方が、使い道が広いわけです。

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「THAAD」の射撃管制通信装置とそのオペレーター(画像:アメリカミサイル防衛局)。

 さらに、カバー範囲の問題もあります。「THAAD」の迎撃ミサイルの射程はおよそ200kmといわれています。これでは、約2000km以上の長さがある日本列島の大部分をカバーするためには多数の「THAAD」を導入する必要があります。そうなれば、導入費用も非常に高額になる可能性があります。たとえば、2017年にアメリカ国務省が発表したところによれば、先述したサウジアラビアへの「THAAD」輸出に関して、その費用は発射器44基や迎撃ミサイル360発など、7個部隊分で合計約150億ドル(約1兆7000億円、レートは2017年10月当時)だったそうです。仮に日本が多数の「THAAD」を導入する場合、それなりの導入費用を覚悟する必要があるでしょう。

 しかも、「THAAD」を運用するためには安全などの観点から、人のいないある程度広い土地が必要となり、「THAAD」の導入数が増えれば、それだけこのような土地を全国に用意しなければなりません。

 そうしたことを考えれば、たった2基で日本全域をカバーできるイージスアショアのほうが、日本には向いていたといえます。

 このような理由で日本での採用には至らなかった「THAAD」ですが、今後の北朝鮮情勢次第ではアメリカ軍が日本に「THAAD」を展開する可能性も捨てきれません。つまり、日本と「THAAD」が全く無縁というわけではないのです。

【了】

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