自動運転バスは地域交通を救うか 各地で進む実験、見えてきた課題

事故リスク、積雪、維持コスト… 課題は山積

 しかしながら、自動運転バスの実現のためには、まだまだ解決せねばならない問題が山積しています。

 乗用車も含め、自動運転で共通の問題として挙げられるのが、事故のリスク。自動運転技術はそもそも運転者のヒューマンエラーを機械がカバーするという考え方ですが、機械のミスや不調がないとは限りません。逆に機械のエラーをカバーできる者がいなくなってしまうことから、完全無人の自動運転(いわゆる「レベル4」以降)が可能な機能を有していたとしても、公道での走行実験はほとんど認められていません。また、無人の車両が人に損害を与えた場合の責任の所在など、法整備についても検討が必要です。

 バスに関しては、すでに行われた実証実験であぶり出された課題もあります。2017年12月に行われた石川県輪島市での実験では、小型カートが用いられましたが、1km×15回の走行中に車内の保安要員が4回ブレーキ操作をし、積雪によるセンサーの誤作動、タイヤの横滑りなどもありました。走行する地域やルートによって、細やかな対応が必要になるでしょう。

 地方で自動運転バスを導入するにあたっての問題として、そもそもコスト削減につながるのかどうか、という見方もあります。運転は自動といえど、現状では人によるサービス管理や遠隔監視、いざというときの操縦が必要であり、なんらかの形で人は介在します。車両の維持にかかるコストもこれからの技術開発に依存している状況です。

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「ひたちBRT」の実験で使れる自動運転実験車両の概要。日野「ポンチョ」がベース(画像:国土交通省)。

 とはいえ、今後も官民主導で続々と実験が行われていく予定です。政府は2020年までに、過疎地域での無人自動運転移動サービスの導入を目指していますが、それには国際的な基準が策定されることも必要。そのあいだも自動運転車の開発や実用化を促進すべく、国土交通省は2018年9月に世界に先駆けて「自動運転車の安全技術ガイドライン」を発表しました。これにより、自動運転車の開発が一層促進されることが期待されるとしています。

【了】

※記事制作協力:風来堂

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コメント

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5件のコメント

  1. 愛知万博のIMTSはトラブル続きで会期の半分も運転できてなかった。無人運転なんて正直いっね無理な技術だ。見切りをつけた方がよい。

    • 深刻な運転士の人手不足解消も狙った開発なんです。
      このままでは公共交通はますます先細りしてしまいます。
      見切りをつけてどうすんですか?
      無人化以外に解消法があるというんですか?

    • 13年も前の話をされても困りますなあ あのGoogleも計画を始める前の昔です

      バスはエンジンも大きく、スペースにも余裕がある
      数十個のセンサー、強力な高性能コンピューターを搭載するのに乗用車よりハードルは低い
      無人化はせず運転手の代わりに免許の無い運賃係をアルバイトで探す事もできる
      多くの地方ローカル線も自動運転バスで置き換えた方がより低コストで便利になるでしょうね

    • いろいろと実験を重ねた末に「一般車とは完全に分離した専用道路と特注車両の組み合わせがベストだ」という結論になり、それって新交通システムを1両編成で運用するのと一緒じゃん、ってツッコミが入るというオチを予想します。

  2. 完全自動運転は実現してもらわないと困ります。
    現在の有人運転と同等レベルの動きがデフォになった時に、今の20代~40代の運転士さんたちが足腰立たなくなっているかどうか、という瀬戸際なんじゃなかろうか?

    少なくとも、ルートが決まりきっている、街中の路線バスくらいは早急に必要だろう。
    とりあえずは、そこで浮いた運転士さんたちを高速バスなり貸切(観光)バスに乗務してもらうことで、応急処置をとりたい。