3度渡海の旧軍「九五式軽戦車」、2度目の里帰りなるか 戦車愛がつなぐ縁で実現間近に

戦車愛が繋いだ奇跡のグローバルネットワーク

 一旦外国のコレクターに買い取られてしまった物を再び、日本に取り戻すのは大変困難です。ところが2017年秋、東京の無可動実銃輸入販売店「シカゴレジメンタルス」の宮崎社長を通じ、奇跡のオファーがされます。購入したイギリス人コレクターより「くろがね四起」をレストアしたグループで九五式を買わないかとの打診があったのです。このグループというのが静岡県御殿場市のNPO法人「防衛技術博物館を創る会」(以下「創る会」)です。

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「くろがね四起」こと九五式小型乗用車。旧日本陸軍が制式採用した、初の国産四輪駆動車(月刊PANZER編集部撮影)。

 早速、同会代表理事の小林氏は、2018年3月にレストア作業が行われているポーランド西部ヴロツワフへ確認に出向きます。ここでイギリス人コレクターの代理人、ポーランド人の工場長、小林氏の3者が初顔合わせとなるのですが、互いに素性の探り合いで最初は折衝もギクシャクしていたそうです。そこへポーランド人工場長にあるロシア人から電話が入ります。これが何と、創る会が「くろがね四起」をレストアした際、協力を得たロシア人コレクターだったのです。同じ知己で一気に3者が打ち解けます。ロシア人も交渉をバックアップしてくれます。戦車愛がつなぐ日本とイギリス、ポーランド、ロシアの不思議なネットワークです。

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