3度渡海の旧軍「九五式軽戦車」、2度目の里帰りなるか 戦車愛がつなぐ縁で実現間近に

現在日本国内に1両も残っていない旧日本軍の九五式軽戦車を、里帰りさせようという動きがあります。しかも交渉はまとまりつつあり、あとは資金の問題というところまでこぎつけました。生産されてからここに至るまでの、数奇な経緯を振り返ります。

試される戦車愛、お値段1億円

 イギリス人コレクターにしても10年という歳月と莫大な費用を掛けて、オリジナルエンジンまで積み込んでレストアに情熱を注ぎ込んでいます。さらに、このイギリス人には日本の戦車をイギリスのボービントン戦車博物館で他国の戦車とともにパレードさせたいという夢がありました。お金さえ積めば譲ってもらえるとはいきません(お金を集めるのも大変ですが)。しかし最終的には、日本の戦車は日本人に還したほうがよいと思ってくれたのです。

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イギリスのボービントン戦車博物館(月刊PANZER編集部撮影)。

 イギリス人コレクターの夢であるボービントン戦車博物館での展示、パレードが実現し、所有権を日本人の手に取り戻すことができれば、日本に里帰りさせる大きな第一歩になります。ボービントン戦車博物館は世界有数の戦車博物館で、毎年6月に開催される「タンクフェスト」には日本から見学ツアーも出るようになりました。うまくいけば来年にはオリジナルエンジンで動く九五式を見ることができるでしょう。

 一番肝心な購入費用については1億円となっていますが、創る会が「くろがね四起」をレストアした費用は約2000万円であり、これと比較しても妥当な額と見積もられています。しかし個人や創る会で何とかなる金額ではなく、広く寄付を呼びかけています。

 再び日本人の手に戻るのか、日本人の戦車愛が試されています。

【了】

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