機関車が引っ張る旅客列車、なぜ減った 貨物はいまも機関車メイン

「重い車両」で増える負担

 重い車両を走らせると線路に負担がかかります。線路は頑丈な構造にしなければならず、建設費や修繕費もかさみます。これに対して電車やディーゼルカーは、編成中の複数の車両にたくさんのモーターやエンジンを分散して搭載することが可能。ひとつひとつの動力装置を軽くすることができ、線路への負担を抑えられます。

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現在の旅客列車は編成中の複数の車両に分散して動力装置を搭載した電車やディーゼルカーを使うことがほとんどだ(2003年11月、草町義和撮影)。

 ふたつ目のキーワードは「少ない」。機関車が引っ張る列車は、動力を伝える車輪(動輪)も機関車にしかありません。一方で電車やディーゼルカーは、編成中の複数の車両に動力装置を搭載。動輪の数も多くなります。

 動輪が少ないと高速運転が難しいだけでなく、列車を始動させてから一定の速度に到達したり、一定の速度から停止させるまでの距離や時間も長くなります。逆に動輪が多いと高速運転しやすく、加速と減速にかかる距離や時間も短くできるのです。

 とくに大都市の鉄道路線を走る通勤列車の場合、短い距離で各駅に停車する必要があるため、スピードを小まめに上げたり落としたりしなければなりません。そのため、加速性能や減速性能に優れた電車やディーゼルカーの方が使いやすいのです。ほかにも、動輪が少ないと高速運転しにくく、きつい勾配を走るのも難しいといった問題があります。

 3点目は運用が「面倒」なこと。列車が終着駅に着いて折り返す場合、機関車を客車編成の先頭から後方(折り返し時の先頭)に付け替えなければなりません。機関車を付け替える手間と時間がかかります。電車やディーゼルカーは編成の両端に運転台を設けていることが多いため、運転士が運転台を移動するだけで折り返すことができます。

 こうした事情から、日本の旅客列車は電車やディーゼルカーばかりになりました。その一方、貨物列車はいまでも機関車が貨車を引っ張るタイプが中心です。貨物列車の場合、機関車けん引方式のメリットを生かすことができるためです。

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コメント

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4件のコメント

  1. 黒部峡谷鉄道は?

    • 黒部峡谷鉄道は冬の間運休しますよォ

  2. >貨物列車を利用する人や企業(荷主)の多くは、旅客列車ほどには所要時間を気にしていない

    そう決めてかかっても良いのだろうか、荷主とて迅速性のアップは嬉しいんじゃないかなあ。

  3. 動力分散の方で加減速にふれてるから、動力集中の貨物列車の方でも各駅停車でないから加減速の機会が少ない事にもふれておくと、より良い記事になると思う。(貨物列車に阪神ジェットカーの性能は不要ということ)