都会を支える深夜のバス事情 終電後も座って帰宅 終電の「寝過ごし救済」も
都会を中心に、終電前後の深夜を走る路線バスが運行されています。その多くは都心から郊外へのベッドタウンへの路線ですが、なかには、少し変わったバスも。ところによっては、終電後もタクシーを使わずに帰宅できる手段があるのです。
終電を逃した… あきらめるのはまだ早い!
一般的にバスの最終便は、遅い路線でも22時台の発車ですが、「深夜バス」も数多く運行されています。23時以降に始発バス停を発車し、通常より割増の運賃を収受するバスのことで、首都圏を中心に1980年代に発展しました。その多くは、利用者の多い駅と、少し離れた住宅地を結ぶ路線で、25時台発まで運行していることもあります。
さらに、終電後に都心の駅から郊外のベッドタウンへと向かうバスも、数多く運行されています。こちらは事業者により違いはありますが、一般的には「深夜急行バス」と呼ばれ、深夜バスよりも走行距離が長くなります。
東京であれば、東京駅~春日部や池袋~川越といった路線がある東武バスの「ミッドナイトアロー」などが深夜急行バスの例として挙げられます。ほかにも、新宿、池袋、渋谷などの主要駅から、八王子、浦和、平塚といった多摩および隣県のベッドタウンへ向かう路線が多く、終電後、おおむね25時30分ごろまでは発車しています。運賃は2000円から5000円ほどです。
深夜急行バスは1時間以上の乗車になることも多いですが、立席のない高速バスまたは観光バス仕様の車両で座って帰れるケースがほとんど。終電時間帯の電車よりも比較的空いているため、「時間もお金も余計にかかるが座ってゆっくり帰りたい」と、あえて電車を避けてバスを利用する人も少なくないようです。
とはいえ、遅くまで飲んでいたとしても、やはり終電に間に合うように切り上げるという人も多いでしょう。ちゃんと電車に乗れたのに、うっかり寝過ごして終点まで行ってしまった……という失敗を経験した人もいるかもしれません。終点駅というのは、えてして宿泊施設など朝まで過ごせる場所が少ないものです。深夜バスのなかには、そのような人の「救済」を目的したものもあります。
それが、西東京バスが運行する「寝過ごし救済バス」です。JR中央線の終点である高尾駅から、上り方面の電車が終わってしまったあと、宿泊施設や朝まで営業している店が比較的多い八王子駅付近まで戻れる路線です。忘年会シーズンで「寝過ごし」が増える12月の金曜日のみ、2014年から2017年まで毎年運行されています。
この「寝過ごし救済バス」は郊外から都心方向へ戻るという特殊な例ですが、終電がなくなったから帰れないとあきらめる前に、バスが運行されていないか、調べてみる価値はあるでしょう。
とは言え一番望ましいのは通勤電車が24時間化することなんだけどなあ