車輪と履帯の「ハーフトラック」が消えたワケ 良いとこどりのはずがなぜハンパに?(写真10枚)

中途半端なので有効だった

 戦車やブルドーザーのような覆帯の車を装軌車、タイヤの車を装輪車と呼びますが、装軌車は車輪をぐるりと廻っている重い覆帯を動かすため走行抵抗が大きく、強力なエンジンや複雑なトランスミッションが必要になり製造には高いコストが掛かり、メンテナンスにも手間が掛かります。燃費も悪く、また故障しやすく、速度も遅かったのですが、しかし悪路の走破性は優れています。一方装輪車のメリットは装軌車の反対です。

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ドイツ軍のSd.Kfz.6けん引車。けん引力は5t(月刊PANZER編集部撮影)。

 タイヤと覆帯を合体させたハーフトラック(半装軌車)は両方のメリットを「それなりに」いいとこ取りしたもので、それなりに速度が出せて走破性も優れており、装軌車よりは構造も簡単なのでコストも手間も比較的掛からない、運転もハンドルでできる、「中途半端でちょうど良い」ことが特に軍用車として広く普及したわけです。

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日本陸軍が輸入したシトロエンのハーフトラック(画像:月刊PANZER編集部)。
日本陸軍の九五式軽戦車の走行装置を使って制作された九八式高射砲牽引車(画像:月刊PANZER編集部)。
旧日本陸軍が第二次世界大戦において、おもに兵員輸送に活用していたという一式装軌装甲兵車(画像:月刊PANZER編集部)。

 アメリカ軍のM3ハーフトラックやドイツ軍のSd.Kfz.251などが有名で、大量に生産されて各地の戦場で使われました。なかにはドイツ軍のSd.Kfz.2(ケッテンクラート)のように自動車ではなく、オートバイと合体させたような異形も登場しています。それだけ戦場で役に立ったということです。

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