2列シートの豪華夜行バスが普及しないワケ やはり「安さ」一番? 引退する車両も(写真28枚)

追随は難しい? カギを握るのは、ある新型車両

 先述の通り、一般的に高速バスの利用者の多くは「安さ」を求める傾向にあります。バス事業者の「採算面」という観点で考えると、豪華2列シート車を運行することのメリットが発揮されるのは、次のような路線に限られます。

・東京~大阪間、東京~名古屋間など、流動が多く乗客数も見込める路線区間
・かつ、複数の3列シート便や4列格安便を運行し、採算が確保できる施策が取れる路線

 しかも、このような路線の運行ができるのは、現時点ではJRバスやウィラー・エクスプレスなど大手の事業者に限られることから、これらのことを考慮すると、今後、豪華2列シート車で運行する路線が増えるとは正直いって考えにくいのではないでしょうか。

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ジェイアールバス関東「ドリームルリエ」の増備車両。個室タイプ2列シート「プレシャスクラス」が6席に増やされた(須田浩司撮影)。
ウィラー・エクスプレス「リボーン」。「コクーン」で培われたノウハウは、この「リボーン」に受け継がれている(中島洋平撮影)。
2018年3月に京成バス「有楽町シャトル」で運行を開始したスカニア/バンホールの2階建てバス「アストロメガ」。その後、夜行高速バスに導入された例もある(中島洋平撮影)。

 一方で、新たな動きも出てきています。国産2階建てバス(三菱エアロキング)の製造中止で、長らく2階建て高速バスの新車導入が止まっていましたが、2018年になって、外国製の2階建て高速バスが稼働を始めました。スカニア/バンホールの「アストロメガ」(高速仕様車は「InterCity DD」という名称)がこれにあたります。もし仮にこの車両が今後普及すれば、JRバス「プレミアムドリーム」「プレミアムエコドリーム」のように1台のバスで複数グレードのシート設定が可能になることから、豪華2列シート運行便が再び増える可能性も秘めています。

 豪華なサービスでしばしば注目を集めてきた2列シートの高速バス。とかく高速バスのサービス内容は、景気状況や乗客のニーズに大きく左右されがちですが、現在運行されている車両が今後代替されるのか否かを含め、今後の動向に注目したいですね。

【了】

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Writer: 須田浩司

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

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1件のコメント

  1. はかた号は最近、乗る機会ないからなんとも言えないけど、以前のやつはまさに豪華感満載だった。