停車地が病院ばかりの高速バス路線、なぜ誕生 地域交通と医療の現状浮き彫りに

町に与えた「高速バス廃止」の衝撃 存続求め350人署名

 この路線が誕生した背景には、阿賀町のような過疎地が抱える医療の問題がありました。

 阿賀町バスが運行を開始したのは、2016年10月のこと。実はそれまで、新潟交通の子会社である新潟交通観光バスが、新潟市内と阿賀町の津川、上川を結ぶ高速バスを運行していました。しかし、赤字や利用者減、さらに運転手不足が追い討ちを掛ける形で、この路線を廃止することになったのです。

 同路線は、新潟市内の病院へ通う人が多く利用していました。高齢化と過疎化が進む阿賀町では、開業医の数が限られています。さらに町唯一の病院である新潟県立津川病院も、常勤医は少なく、当然ながら診療科が限られる状況でした。しかし、現在の医療は高度化・専門化が進んでいるため、ある水準以上の治療は、町内では対応できません。結果、専門性が高度な設備やスタッフが整った新潟市内の病院へ通う必要が出てきます。

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阿賀町バスのバス停は、船のマストをモチーフにしたデザイン(画像:阿賀町)。

 こうしたなかでの路線の廃止発表は、町民に大きな衝撃を与えました。阿賀町からはJR磐越西線もありますが、通院客にとっては、途中での乗り換えや、駅から病院までの移動などを考えると、病院の近くまで行ってくれる高速バスはなくてはならない存在だったのです。そのため、高速バスの存続に向けて町民約350人の署名が集まるなど、存続の道を探る動きが高まってきました。

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コメント

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3件のコメント

  1. 高速バスではないですが、釧路~根室の都市間バスも釧路市内が似たような状態ですね。

  2. バスの機能(路線設定が柔軟)を活かした運行で良いですね。
    路線を見ると鉄道とも交差する箇所があるので、並行したり交差したりする鉄道との乗り換え結節も行ない、交通機関全体の利便性向上を図る戦略が各関係者(バス・鉄道・道路会社等)で連携されてほしいです。

    • その必要はありません
      客を奪う敵業界同士で仲良くお客を分けあおうなどというのは話にならない
      徹底的に競争して勝った方が客を総取りするのが一番良いインフラなんですよ