ベルギーがF-35導入の意義は? 日本も他人事ではないその決定をどう読み解くべきか
もちろん日本も無関係ではない
ベルギーのF-35A導入は、一見日本と関係無さそうな話に思えるかもしれませんが、今後大きな影響を及ぼす可能性も秘めています。
F-35Aの価格はここ数年順調に下がっており、2018年9月にアメリカ国防総省とロッキード・マーチンが合意した最新の調達契約では、1機あたりの価格が初めて9000万ドル(約107億円)を下回る、約8920万ドル(約101億円)となっています。ロッキード・マーチンは海外のエアショーで行っている会見などで、2020年代前半にF-35Aの価格を1機あたり8000万ドルまで下げる方針を示しています。
現在世界では複数の国で冷戦時代に導入した戦闘機を後継する、新戦闘機の選定作業が進められており、アメリカ政府はカナダ、フィンランド、ポーランドなどに、F-35Aの提案を行なっています。これらの国々でF-35Aが採用されれば生産機数が増えて、その分だけ機体の単価が下がりますので、ロッキード・マーチンの示した方針の実現に一歩近づきます。
これに対し日本は国内でF-35Aの機体の最終組み立てと検査(FACO)を行なっているため、「平成31年度概算要求」での1機あたりの単価は約147億円と、完成機を輸入した場合よりも高くなっています。
航空自衛隊が現在運用しているF-15J/DJ戦闘機201機のうち、近代化改修を受けていない99機に関しては、F-35で更新される方針が固まっていますが、政府部内には完成機輸入と国内で最終組み立てを行なった機体の価格差を問題視する声や、F-35の1年あたりの調達機数を増やすため、完成機の輸入に比べて価格が高くつく、FACOを取りやめるべきとの意見があります。
防衛省はF-35Aの整備拠点を日本に置く方針を示しており、その中核となるFACO施設の閉鎖はその方針と矛盾しています。このためFACOの取りやめが早期に決まる可能性は低いと考えれれますが、仮にFACOを取りやめた場合、戦闘機の生産基盤がさらに縮小されるため、国内防衛産業が望む日本主導によるF-2後継機の開発、生産が、困難になることは間違いありません。
【了】
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