近い将来の国防を占う「国際航空宇宙展2018」 2年繰り上げ開催の理由と注目の出展

次の国防のカタチが見えてくる、かも

 日本でも知名度の高い海外企業による出展も要注目なのですが、筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は、今回初めて「国際航空宇宙展」に出展する、ドイツのタウルスに注目しています。

 タウルスは、ドイツとスウェーデンが共同開発した、地中を貫通して地下に設けられた司令部や指揮所などを破壊できる、ステルス性を備えた空対地巡航ミサイル「KEPD350」のメーカーです。同ミサイルはドイツ、スペイン、韓国の空軍に採用されています。

 北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が顕在化して以降、日本国内ではそうした兵器による攻撃を受けた場合、一定の反撃能力を持つべきとの意見があります。自由民主党の安全保障調査会は2017年3月、日本がミサイル攻撃を受けた場合、発射能力を減殺するための攻撃は、国際法上も憲法上も認められない先制攻撃とは一線を画した概念であり、憲法上も一定の条件下において許容されるとの見解を示した上で、「敵基地反撃能力」の保有についての検討を促進すべきとの提言を、政府に対して行なっています。

 11月19日、一部メディアは小野寺五典前防衛大臣が、現在策定を進めている次期防衛大綱に敵基地反撃能力は盛り込まれない見通しだと述べたと報じました。自由民主党内などに存在している敵基地反撃能力の保有を検討すべしという声が、今後の日本の防衛力整備にどの程度反映されていくのかは不透明ですが、多数の司令部を地下に設けていると言われている北朝鮮の弾道ミサイルの攻撃能力を低減させる上で、KEPD350が有効な装備品となることは確かです。

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地中貫通能力を持つ巡航ミサイル「KEPD350」(竹内 修撮影)。
「2016年国際航空宇宙展」にコングスベルクが出展した対艦ミサイル「JSM」の実大模型(竹内 修撮影)。
「2016年国際航空宇宙展」にロッキード・マーチンが出展した対艦ミサイル「JASSM」の実大模型(竹内 修撮影)。

 2012年の「国際航空宇宙展」にボーイングが大型模型を出展したV-22「オスプレイ」、2016年の同展にノルウェーのコングスベルクが模型を出展した長距離対艦ミサイルの「JSM」や、同じくロッキード・マーチンが模型を出展した長距離対艦ミサイル「JASSM」は、その後、自衛隊への導入が決定しています。自衛隊の思惑はともあれ、タウルスが今回出展するのは、自衛隊が導入する可能性があると考えているからにほかなりません。

「国際航空宇宙展」は国内外の先進技術を目の当たりにできる場所であると同時に、今後の日本の防衛のあり方がどのように変わっていくのかを、考えることのできる場所でもあります。今回の「国際航空宇宙展2018東京」は商談に特化していますが、公式サイトで事前登録すれば、一般の方も無料で入場できます。

【了】

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