副社長が語るF-2後継問題 ボーイングが描く未来の「日本の空」

F-15J/DJは2040年の空も飛ぶの?

 今回の「国際航空宇宙展」にボーイングが出展した防衛関連の製品の中で、ひときわ注目を集めたのが、AIM-120「AMRAAM」空対空ミサイルを18発搭載したF-15の模型と、アメリカ空軍の次期練習機として採用されたT-Xの模型でしょう。

 防衛省は2018年8月31日(金)に発表した「平成31年度防衛予算」の概算要求に、航空自衛隊が運用するF-15J/DJ戦闘機に大幅な近代化改修を行なうため、2機ぶんの改修費101億円と、設計変更などの経費439億円を計上しています。この改修では空対空ミサイルの搭載数の増加が計画されていますが、ボーイングがアメリカ空軍の「F-15C」戦闘機の近代化改修計画に提案している「F-15C 2040」にも空対空ミサイルの搭載数増加が盛り込まれており、今回の「国際航空宇宙展」への模型の展示は、F-15J/DJの近代化改修に、ボーイングが積極的に協力する姿勢を示したものと考えられます。なお同社によると、前述した予算の1機あたりの改修費で、航空自衛隊が保有する初期型を含むどのF-15J/DJに対しても、近代化改修が可能とのことです。

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ボーイングの旅客機である787型機のシミュレーター(竹内 修撮影)。

 アメリカ空軍の次期練習機に決定したT-Xは、ボーイングとスウェーデンのサーブが共同開発した新設計の練習機です。T-Xのコクピットに設置されたディスプレイは、F-22やF-35といった、様々な戦闘機のディスプレイ表示を再現できる仕組みになっているほか、地上のシミュレーターと接続した訓練も行なえるため、戦闘機パイロットの訓練効率の大幅な向上が見込まれています。

 また新しい戦闘機や訓練環境が登場した際にも、機体を改修することなく、ソフトウェアのアップデートだけで対応できるほか、多くの工具を使用せずに機体の分解や組み立てを可能とする構造も採用されており、運用コストを低減するための技術も多数盛り込まれています。

「国際航空宇宙展」のために来日した、ボーイング防衛 宇宙 セキュリティ部門のトミー・ダナヒュー国際セールス担当副社長によれば、すでにT-Xには10か国以上が関心を寄せており、また導入国からの希望があれば、ライセンス生産にも前向きに対応したいと述べています。

 航空自衛隊の「T-4」練習機の後継機選定は、まだかなり先の話になると見られていますが、ダナヒュー氏の説明を聞いて、ボーイングのT-XはT-4後継機の有力な候補のひとつになり得ると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は感じました。

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