韓国艦のレーダー照射、なぜ危険なのか? 背景に「発射=撃墜」の艦対空ミサイル

韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊P-1哨戒機へのレーダー照射事件について、防衛省は「非常に危険な行為」と表現しました。なぜそういえるのか、理由は「撃てば当たるミサイル」にあります。

問題は照射の次の「艦対空ミサイル」

「STIR」は、一般的に「イルミネーター(照射器)」と呼ばれる種類のレーダーであり、レーダー電波を極めて細い(指向性の高い)ビーム状で照射することに特化しています。おもに対空目標に対して使用され、対象の位置、高度、速度といった情報を高い精度かつリアルタイムに取得することができます。そしてこの状態を「レーダー照射」または「ロックオン」と呼びます。

 問題はこのSTIRが、「広開土大王」に搭載される127mm砲やRIM-7P「シースパロー」艦対空ミサイルの射撃に特化した装置であるということです。

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RIM-7P「シースパロー」を発射する米海軍強襲揚陸艦「ボクサー」。「広開土大王」が使用する「シースパロー」と同型(画像:アメリカ海軍)。

「シースパロー」は、「セミアクティブレーダー・ホーミング」と呼ばれる誘導方式を採用しており、ミサイル先端部に取り付けられた「シーカー(検知器)」が、STIRによってレーダー照射された航空機の反射する電波を拾います。そして航空機の方位を取得、自己の針路が航空機との衝突コースに乗るよう、誘導・飛翔します。原理上、「シースパロー」発射後も標的に命中するまで、STIRによってレーダー照射をし続ける必要があるものの、P-1より遥かに機動性の高い戦闘機に対しても有効であり、また小さな対艦ミサイルに対して使用することも可能な、高い誘導精度を持ちます。

「シースパロー」には40kgの大きな弾頭(爆弾)が組み込まれており、ミサイル自体は直撃する必要はなく近接信管によって炸裂。「コンティニュアス・ロッド」と呼ばれる金属製の鞭が円形に広がり、航空機ないし対艦ミサイルの胴体や構造物を、効率よく「切断」することに特化されています。

 1983(昭和58)年に発生した「大韓航空007便撃墜事件」では、「シースパロー」と同等の40kg弾頭(コンティニュアス・ロッドではない)を持ったR-98空対空ミサイルが、ソ連(当時)により使用されました。そして同ミサイルは、P-1よりもはるかに巨大なボーイング747「ジャンボジェット」を撃ち落としており、シースパローもまたP-1クラスの航空機に対しては、撃墜するのに十分すぎる威力を持ちます。

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