もうパクリとは言えない 謎の「ステルスUAV」から見た中国の無人機開発事情

家電から戦闘機まで、コピー大国と見られることも多い中国ですが、ことUAV(無人機、ドローン)に関しては事情が異なってきているようです。同国の無人機市場はいま、百花繚乱の様を見せつつあります。

注目すべきは「機体」ではなく中国の「業界」全体?

 いかにもステルス機っぽい外見のXY-280ですが、それを開発しているロンテックは、もともとはUAVとはまったく関係ない業種の会社でした。同社は2003(平成15)年に創設された、比較的新しい新興系企業で、航空機の翼やテニスラケットなど様々な分野で使用される「複合材料」を成形するための「オートクレーブ」といった工作機械や、軍用のディスプレイ機器を開発製造していました。

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「エアショーチャイナ」ロンテックブース(布留川 司撮影)。

 そのような会社が、自社プロジェクトでステルスUAVを開発できる会社となれたのは、同社のスタッフによれば、いくつかの理由があるといいます。まず、無人機の機体に使われる複合材料に関するノウハウが、工作機械を開発製造していたためにあったこと。そして、開発に必要な新しい技術者などの人材を、中国国内から集めることができたことだそうです。

 新規事業への参入は、同社にとっても大変な苦労があったらしいですが、社員の平均年齢が30代と若く、そして中国企業全般に言えることですがスピード重視で勢いがあったためか、ロンテックは標的機用UAVの開発に成功。同社の標的無人航空機「XY-180D」は、アメリカ製のF-16戦闘機やフランス製のミラージュ2000戦闘機、そして低空を飛ぶトマホーク巡航ミサイルなどの飛行を模擬することができ、実際に中国人民解放軍にも採用されているとのことです。

 また、筆者が一番、驚いたのは、「エアショーチャイナ」にはロンテックのように、自社プロジェクトで開発中の無人機航空機が多数展示されていたことです。前述のXY-280も、そのなかのひとつにしかすぎません。

 これらの多くは実機どころか、その前の企画段階のものも多く、実際に機体が作られるかどうかも分かりません。しかし、それだけ多くの会社が異なるプロジェクトを進められること自体が、中国におけるUAV市場の大きさを表わしているともいえます。

 中国製品に関しては、「コピー製品ばかり」という批判的な見方もあり、軍事の分野でも他国の兵器と類似したものが多いのは事実です。しかし、「エアショーチャイナ」で筆者が見た限りでは、UAVに関してはメーカーが独自のコンセプトを構想して、これまでに無い新しい機体が開発されていました。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. はいはい綺麗な軍拡