都営浅草線の「レール破断」考えられる要因は 異常発見の仕組みは19世紀に実用化

「電気」もレールをむしばむ

 レールをむしばむのは、「車輪との接触」だけではありません。鉄道のレールは車両を支える道であると同時に、電気の通り道でもあるためです。

 変電所から送られてきた電気は、パンタグラフなどから電車に取り込まれてモーターを回し、車輪を通じてレールに流れて変電所に戻っていきます。しかし、近くに鉄管など電気を通しやすい埋設物があったり、漏水や湧水などで線路が濡れていたりすると、レールを流れる電気が外に漏れてしまうことがあります。このとき、電気の作用で鉄が溶けてしまう「電食」という現象が発生します。

 1両あたり約30tにもなる鉄道車両が通過するたびに、摩耗や電食によって発生した傷は次第に広がっていきます。通常は定期的な検査で傷の発生を確認し、小さな傷は削ってレールの形を整え、ある程度まで消耗したレールは亀裂が入る前に交換しています。しかし、定期検査で傷を見落としたり、検査後に急激に電食が進んだりすることで、想定より早くレールの傷が拡大することがあるのです。

 レールの破断は頻繁にあるものではありませんが、東京メトロでも2016年5月に東西線と銀座線で、立て続けにレールが破断して運転を見合わせたことがあります。

 2019年2月1日は、前日深夜から関東平野でも雪が降るなど気温が低かったことから、レールが寒暖差で伸び縮みした影響ではないかという指摘もあります。しかし、基本的に地下10m以下の温度は、地上の気温の変化にかかわらずほぼ一定していますから、レール破断の要因としては考えにくいでしょう。

 1月20日の本所吾妻橋~浅草間は隅田川の下、2月1日の三田~泉岳寺間は東京湾の沿岸部と、ともに浸水が多そうな区間ですから、筆者(枝久保達也:鉄道ライター)は電食によるレールの腐食が原因ではないかと推測しています。電食は漏水対策や枕木などの絶縁性を高めることで、ある程度は防ぐことができるものの、「要注意ポイント」として、こまめに点検していくしかありません。

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コメント

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1件のコメント

  1. 「驚くべきことに」って言うより、インフラじゃ枯れた技術を長く使うものって言った方がいい気がする(鉄道だけか?)。