都営浅草線の「レール破断」考えられる要因は 異常発見の仕組みは19世紀に実用化

レールには「信号の電気」も流れている

 ところで、2月1日のトラブルについて、同日付けの朝日新聞東京夕刊は「都営浅草線の泉岳寺~三田の間で線路異常を知らせる信号が発生」したと伝えています。そのような監視用の装置があるのかと思った人もいるかもしれませんが、これは信号の仕組みによるものです。

 鉄道の信号には、レールに信号用の電流を流して一定間隔ごとに電気回路を作り、回路に電気が流れているときは青信号を表示させる、という形式のものがあります。この電気回路に車両が進入すると、鉄の車輪でレールの電気回路をショートさせるため、信号機に電気が流れなくなり、自動的に赤信号に変わります。

 この回路は車両が通過したときだけでなく、線路に異常が発生して正常に電流が流れなくなったときにも赤信号に切り替わるため、安全装置も兼ねているわけです。

 線路の異常を発見した列車は、駅のあいだで赤のまま切り替わらない信号に遭遇することで「何か異常があったのではないか」と察知。指令所に連絡して線路点検を行った結果、レールの破断が確認されたというわけです。

 こうした仕組みは驚くべきことに、すでに19世紀には実用化されていました。鉄道が100年以上にわたって積み重ねてきた経験と技術が、小さなトラブルを大きな事故に発展させないよう、機能したわけです。

 都営地下鉄は今回のトラブルを教訓に、さらに安全で安定した輸送の実現を目指してほしいと思います。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 「驚くべきことに」って言うより、インフラじゃ枯れた技術を長く使うものって言った方がいい気がする(鉄道だけか?)。