もはや骨董品のDC-3がいまだ仕事で飛んでいるワケ 航空史に名を刻む旅客機なぜ現役?

つまりは機体特性がマッチしたというお話

 しかし、なぜエアボーン・イメージング社は、業務で使う飛行機にDC-3を選んだのでしょうか。同社のスタッフによると、この機体の様々な特徴が、この会社の業務にピッタリ合っているといいます。

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機体の後部に設けられた開口部。地上を撮影するときには、ここにカメラなどが設置される(布留川 司撮影)。

 まず、挙げられたのが6時間という長い飛行時間で、これは同社のスタッフによれば、小型ビジネスジェット機の約2倍もの長さだといいます。もちろん、航空会社が運用している大型の旅客機など、より長い時間を飛べる航空機はいくらでも存在します。しかし、それらは運用コストが高く、エアボーン・イメージング社のような比較的、小規模な民間企業が運用するのは難しいのです。同社スタッフいわく「運用コストは、個人で払える金額ではないけれど、請負業務として考えればお得な値段」とのこと。

 また、DC-3が低速低高度から高速高高度まで、幅広い条件で飛行が可能なのも大きな利点です。地上を撮影するためには、低・中高度を飛行しますが、センサーテストの場合は高高度まで上がる必要もあり、DC-3はそれら異なる条件のいずれでも運用が可能です。旅客機として開発されたため機内のスペースも広く、飛行内容に応じて、内部の機器や乗員の入れ替えも自由かつ幅広く対応できます。撮影にしても試験にしても、クライアントが望む機器は大抵の場合、搭載可能で、それだけ受けられる業務の種類も多くなります。

 DC-3は現代の航空機と比較すると、第一線の商業航空の世界で活躍できる航空機ではありません。しかし、飛行性能など機体そのものの性能は高く、エアボーン・イメージング社はその性能にマッチした業務で、この機体を運用し続けています。このような特殊な環境であれば、DC-3は初飛行から100年経っても飛び続けているかもしれません。

【了】

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1件のコメント

  1. 機体の大きさと性能が手ごろであること、過去に製造された機数が多く、維持整備の際の部材が多数安価に出回っており、古い機体だからといって維持に困るようなことがないどころか、他の機種を選定するより安価だと聞いたことがあります。さらに、レシプロエンジンだから、機種限定不要で事業用操縦士多発限定だけで操縦できますしね。