船への浸水どう防ぐ? 軍艦には欠かせない「ダメージコントロール」とは

ダメージコントロール、実際どうやっているの?

 では艦艇における「ダメージコントロール」の実際のところは、どのようなものなのでしょうか。

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浸水対処用の訓練装置(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。
展示されたダメージコントロール用具一式(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。
浸水発生時の初動対処用具(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。

 たとえば船体に穴が開き浸水が発生した場合の対処ですが、まずは浸水箇所に布や木の板、ロープや箱などをあてたり、木材の端材などを打ち込んだりして、その穴を塞いでいきます。さらに角材などで水圧に耐えられるよう支柱を設け、浸水を防ぎます。すでに艦内に入った海水は、放水ポンプで外へくみ出していきますが、片側の浸水が激しい場合には、その反対側にあえて注水して船体を安定させ、転覆を防ぐ場合もあります。

 実際に「モントローズ」で展示されていた対処方法は、まず浸水が発生すると警報が鳴り、対処要員は金づちと木材が入った小さな袋を持って現場に駆け付けます。浸水箇所を確認したら木材を金づちで打ち込み、水の勢いを抑えていきます。そしてその上から半球状の蓋をあて、さらにそれが水圧に耐えるよう、支柱で固定していました。

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浸水箇所を塞ぐ蓋(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。
蓋はこのように支えられ、浸水を防ぐ(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。
消火用の防火服に身を包む乗員(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。

 一方、艦艇における火災への対処ですが、そもそも火災には紙や木など固体の可燃物による「A火災(一般火災)」、油など可燃性の液体による「B火災(油火災)」、電気配線のショートなどによる「C火災(電気火災)」の3種類があり、それぞれの場合で対処が異なります。

 Aの一般火災の場合には、水を勢いよく放水する消火方法が用いられますが、この方法はBの油火災の場合には、かえって火の勢いを強くしてしまい、またCの電気火災の場合には感電の恐れがあるため、用いることができません。それら火災の種類を見極め、水を霧状に放水する装置や、ガスや薬剤を用いた消火方法などがとられます。

 また、海水を散布する装置が各所に設置されていて、これらを用いて艦内で発生した火災を消火します。

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