廃止の貨物線「敦賀港線」、実はこんなにスゴかった! 戦前は「大陸への玄関口」
北陸本線の支線「敦賀港線」2.7kmが廃止されます。終点の敦賀港駅は戦前、「欧亜連絡列車」が発着する大陸の玄関口として機能し、日本とヨーロッパなどを行き来する人々で賑わいました。今回、137年の歴史に幕を閉じますが、跡地の活用計画も進んでいます。
貨物港としてますます好調、鉄道がなくなった敦賀港線の今後
欧亜連絡列車の運行は戦時中になくなり、戦後の敦賀港線は貨物列車のみが走るように(臨時で旅客列車が運行されたこともある)。その運行も10年前に終了し、再開されないまま今回廃止となります。
一方で、敦賀港自体は貨物の拠点として好調を保っています。2010(平成22)年には「敦賀港国際ターミナル」が開業し、5万トン規模の貨物船や旅客船が利用可能となり、入港する船の大型化などで貨物取扱量もさらに増加。2016年度の貨物取扱量は、本州の日本海側に位置する港としては新潟港に次ぐ2位となっています。RORO船(トレーラーなどを直接搭載できる貨物船)や旅客船が中国、韓国、北海道へ就航しているほか、敦賀港線の廃止と同じ2019年4月1日(水)には、敦賀~博多間の貨物航路も新設されます。
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敦賀港線の廃止に先立ち、北陸本線の分岐点付近はレールが撤去され、2023年春に予定されている北陸新幹線の敦賀延伸に向けた工事用地として使われています。一方、敦賀港駅付近では、敦賀港線を使ってSLを走らせ、観光資源として活用する計画も進行中。ただ、敦賀港線全線の一括買取を求めるJR貨物と、必要な箇所のみの買取にとどめたい敦賀市のあいだで合意に至っていません。
敦賀港周辺には歴史ある赤レンガ倉庫や、戦前の姿を再現した「旧敦賀港駅舎」(敦賀鉄道資料館)、先述した杉原千畝の業績を展示した資料館「人道の道・敦賀ムゼウム」など、敦賀の歴史を物語る観光資源が点在しています。137年の歴史に幕を閉じる敦賀港線が今後どう活用されるか、注目です。
【了】
※記事制作協力:風来堂、oleolesaggy
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