閉山から45年の「軍艦島」に上陸 崩落続く圧倒的鉄筋コンクリート建築物群のいま

「軍艦島」は、その一部が世界遺産の構成資産に選ばれたこともあり、いまでこそ広く知られていますが、かつては知る人ぞ知る、廃墟マニア垂涎の地でした。手軽に上陸できるようになったいま、ツアー客として何が見られるのでしょうか。

軍艦島の「軍艦」は、実は未完成艦

 長崎港の桟橋を出発したツアー船は、三菱重工の長崎造船所を右手に眺めつつ長崎湾を進みます。戦艦「武蔵」を建造したというドックも、そう遠くなく眺めることができます。内陸部に深く切り込んだ湾内は波も穏やかで、さすが大昔から続く天然の良港です。

 湾の出口にかかる女神大橋をくぐると、徐々に左右が開けてきました。数多の船を見守り続ける「岬のマリア像」を右手に、三菱重工 長崎造船所の香焼工場にそびえるクレーンなどを左手に眺めながら船は加速し、一路、南西方向の軍艦島を目指して疾走。先のマリア像もそうですが、途中、伊王島に建つ馬込教会のシンボリックな白いゴシック建築が目に入り、カトリック信仰が深く根付いた土地柄であることを改めて思い起こさせます。

Large 20190330 01 Large 20190330 02 Large 20190330 03
     
三菱重工長崎造船所のハンマーヘッドクレーン(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
長崎市神の島地区の「岬のマリア像」(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
長崎市伊王島地区の馬込教会(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。

 港を出発して30分ばかり、やがて海原にポツンと、軍艦島の独特のシルエットが見えてきました。「軍艦『土佐』に似ているから軍艦島」といわれますが、そのように見える方向は実は決まっていて、島の西側から眺めた姿をいうのだそうです。長崎港から島に向かった場合、おおむね桟橋のある東側からのアプローチになると思われますが、その反対側に回り込んで、初めて軍艦島の「軍艦」たるゆえんを拝めるというわけです。

Large 20190330 04
曳航される戦艦「土佐」。未完成のまま海軍に引き渡された。

 ちなみに軍艦「土佐」とは、1922(大正11)年に締結されたワシントン海軍軍縮条約により建造中止となった旧日本海軍の戦艦で、「長門」や「陸奥」の改良型となる予定でした。海軍は未完成のままこれを受け取り、砲弾の実験などに使用したのち自沈処分するのですが、「軍艦島」はその、「土佐」の未完成状態のシルエットに似ているということで広まった愛称なのだそうです。ただし、当時の軍艦島に高層建築などはまだそれほど建てられていないため、現在のシルエットがそのまま「土佐」に似ているというわけではないようです。

 ツアー船はぐるっと島を1周したのち、桟橋へ着きました。いよいよ上陸です。

この記事の画像をもっと見る(16枚)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  3. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. バス運転士「辞めないで」 東京都が“給与の手当”を10年間補助! 独自の定着支援で「路線廃止」を防ぐ
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号