閉山から45年の「軍艦島」に上陸 崩落続く圧倒的鉄筋コンクリート建築物群のいま

「軍艦島」は、その一部が世界遺産の構成資産に選ばれたこともあり、いまでこそ広く知られていますが、かつては知る人ぞ知る、廃墟マニア垂涎の地でした。手軽に上陸できるようになったいま、ツアー客として何が見られるのでしょうか。

圧倒的コンクリート塊からなる「夢の跡」

 桟橋から護岸壁のトンネルを抜けると、そこは圧倒的コンクリート塊が迫りくる、文字通り廃墟の街でした。この島に人が住んでいた当時、地面は一面がコンクリートで覆われ、住居棟などの屋上にわずかな菜園などが見られるだけだったそうですが、閉山し無人化して45年目ともなると、あちこちに生命力を感じさせる緑色が目につきます。鳥のフンなどに紛れて、そうした植物の種子が島へ持ち込まれ、根付いたものとみられるそうです。奥州で芭蕉が詠んだ「兵どもが夢の跡」の句が脳裏に浮かびます。島を訪れたのは冬場ですが。

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桟橋から軍艦島へ上陸(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
島の最も高いところに貯水槽(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
端島神社の祠(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。

 ツアーで見学できるのは、整備された通路からのみ。残された建築物の中に入るようなことはできません。坑道へ通じる階段など一部は補強されていましたが、あとは崩れるに任せるという状況のため、安全が確保できないからだそうです。それでも、かつて人々が暮らした痕跡や独特の空気などは肌で感じることができます。

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右が30号棟。1916(大正5)年建築の、日本最古の鉄筋コンクリート造り高層アパートといわれる。140戸が入居した(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。

 住民の給与水準は高かったそうで、まだ全国的にカラーテレビが珍しかった時代、島では各家庭に普及していたといいます。また映画も全国公開とほぼ同じタイミングで観られるなど、文化的にも都会とさほど遜色のない暮らし向きだったそうですが、いまとなってはすべてが時の彼方です。もし人類が突然滅亡したとしたら、都心のビル群もこのような光景になるのでしょうか。

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1Fの鍛冶工場から続く階段の先に会議室(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
正面に7階建ての端島小中学校(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。
貯炭場に続くベルトコンベアの支柱(2019年2月26日、喜多 雅撮影)。

 ちなみに、上述のようにコンクリートで覆われた島ゆえ、夏場の陽射しの照り返しはとても厳しいものがあるそうです。ツアーガイドの男性いわく、昨夏など摂氏47度を確認したとか。日本国内の最も暑い場所は、もしかするとここ、軍艦島になるのかもしれません。

【了】

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