戦艦「大和」の一部始終 旧海軍「艦隊決戦の切札」 最強秘密兵器が東シナ海に沈むまで

21世紀のいまなお「史上最大の戦艦」の座に君臨する戦艦「大和」は、旧日本海軍の威容と落日を象徴する艦でもあります。なぜ建造され、いかに戦い、沈んだのでしょうか。最期を迎えた1945年4月7日に至るまでを振り返ります。

巨艦建造は公然の秘密

 日本海軍は大和型を建造するにあたり、アメリカやイギリスも条約明けに新たな戦艦の建造に取り掛かると踏んでおり、多少の性能差ではすぐに肩を並べられてしまうため、圧倒的な性能差を持つ戦艦を作って、こちらに比肩されるまでの時間をできる限り長くしようと考えました。

 そこで当初は基準排水量約5万トン、50cm砲12門、速力30ノットという数値を目標としましたが、これらの数字はあまりにも突飛すぎたため、徐々に実現可能な数値に落とされていきました。最終的には基準排水量6万3000トン、46cm砲9門、速力は27ノットとされました。前型の長門型戦艦が、基準排水量3万2760トン(就役時)、41cm砲8門、速力26.5ノットであり、基準排水量では倍増しているのがわかります。

 結局、建造中の改良で1000トン増え、完成時には基準排水量が6万4000トンになっていました。しかし、15万馬力を発揮する新型の蒸気タービン機関と、水中抵抗を軽減させるための新機軸「球状艦首(バルバス・バウ)」によって、海上試験では計画を上回る27.46ノットを出しています。

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1943年5月、トラック環礁にて並んで錨泊中の「大和」と同型艦の「武蔵」(画像:アメリカ海軍)。
1944年10月1日ブルネイにて、手前から戦艦「長門」、高雄型重巡洋艦、「大和」、「武蔵」(画像:アメリカ海軍)。
1944年10月24日レイテ沖海戦にて、米機の爆弾が第1砲塔直前に直撃した「大和」(画像:アメリカ海軍)。

 建造に関しては、情報漏洩を防ぐために、徹底的な機密保持が敷かれました。建造する呉海軍工廠は周囲のみならず、見下ろせる丘の上にまで板塀で目隠しが施され、船台(ドック)はその長さから新型艦のサイズが推測されないよう、陸側半分には屋根が付けられました。さらにその周囲には、すだれ状の目隠しも多数立てられたほか、工廠を見下ろす山には海軍憲兵が張り付き、周囲を監視していたほどだったのです。

 それでも海軍関係者のあいだでは、海軍が巨大戦艦を建造していることは周知の事実でした。

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