市自ら選んだ「攻めの鉄道廃止」 JR石勝線夕張支線、代替バスはどう「進化」したのか

2系統のバスで「鉄道代替」 運行本数は倍に

 これまでの鉄道代替バスの事例を見ていくと、バス会社が独自に運行していた既存路線とは別の新規路線を開設するケースが少なからずありました。しかしながら、これでは現在の利用者のニーズに合致しないばかりか、下手をすると既存路線と新設路線の共倒れにもなりかねない状況に陥ります。ましてや、昨今深刻化している乗務員不足問題も考えると、非効率な運行は絶対に避けたいところです。

 そこで、石勝線夕張支線を代替する路線バスの運行にあたっては、夕鉄バスが運行していた既存市内路線を再編、「夕張市内線」としてリニューアルし、これを鉄道代替路線とすることで、利便性を確保するとともに、バス会社にとってもできるだけ負担が増えないように配慮されています。具体的な変更内容は次のとおりです。

・循環運行の取り止めと往復運行への変更。
・両端部分の起終点の延伸(北側:社光〈廃止〉→夕張市石炭博物館、南側:南清水沢→新夕張駅前)
・新さっぽろ駅前と夕張市内を結ぶ「新札夕線」の一部区間(夕鉄本社ターミナル~新夕張駅前)にも鉄道代替の役割を担わせるとともに、区間便との乗り継ぎを考慮してダイヤを見直し。
・新夕張駅前バス発着所の整備(駅構内の待合スペース整備など)。
・停留所の新設、移設、廃止、名称変更。

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2019年4月1日からの「夕張市内線」は、新たに夕張市石炭博物館が終点となった(須田浩司撮影)。
「夕張市内線」のバス車内(須田浩司撮影)。
新夕張駅前行きバスの行先表示。夕張市石炭博物館からのバスと夕鉄本社バスターミナルで接続(須田浩司撮影)。

 結果、「夕張市内線」はリニューアル前の本数(平日8便)から増やすことなく、既存路線との乗り継ぎを合わせて、石勝線夕張支線との並行区間に鉄道時代の倍の運行本数(10往復)を確保しています。

 使用される車両は、2018年秋に先行導入された大型ノンステップバス(日野「ブルーリボン」)です。全部で3台導入されていますが、一部の車両が札幌市内にも乗り入れることなどから、車内は着席重視のシート配列になっています。

【写真】「夕張支線最後の日」「代替バス最初の日」の様子

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コメント

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3件のコメント

  1. 輸送貨物量を路線図に重ね合わせた図も示さないと片手落ちの感は否めない。
    北海道東部各地から本州方面への農産物輸送を考慮しないまま、旅客だけの視点で廃止の議論をするのは間違っている。

  2. 『現在』の『旅客輸送』だけで見れば、夕張鉄道線の早期廃止はかなり惜しかったのかも?

  3. 人の動きしか見れないのは何故だろう?
    物は?
    旅客が廃止でも貨物線で残さざるをえない路線の代表が函館本線と江差線と海峡線。
    函館本線は室蘭本線不通時のバイパス、石北本線と根室本線も道東の貨物輸送に欠かせない筈。
    宗谷本線も、樺太に近い稚内にはそれなりの潜在需要有る気もする。
    宗谷本線と嘗ての天北線を復活させ、宗谷海峡を海底トンネルで樺太に繋ぎ、樺太の路線を経由してシベリア鉄道に接続する構想も有るぐらいだし。
    もしも実現すれば日本とユーラシア大陸の殆どの国同士が鉄道で結ばれる。
    ロシア側が積極的にやりたがっているが日本側が消極的だ。