徹底解説! JR東日本の新幹線E956形試験電車「アルファX」
地震発生時の停止距離短縮にふたつの装置
高速化のカギとなる走行装置では、地震発生時に列車を安全に停止させるための技術の導入が図られています。「FASTECH 360」シリーズで採用されながら、E5系とE6系には導入されなかった「空気抵抗板ユニット」を再び搭載。車体の天井に板が設置されており、地震発生時には板が車外に出すことで空気抵抗を増やし、停止距離を短縮します。
さらに、台車にも「リニア式減速度増加装置」を搭載。地震発生時にコイルをレールに近付けることで、コイルとレールのあいだに電磁的な力を発生させ、車両の減速度を増加させます。このほか、車体と台車のあいだに「地震対策左右動ダンパ」と「地震対策クラッシャブルストッパ」を設置し、大きな揺れや衝撃を抑えられる構造にしました。
通常時の乗り心地の向上も目指し、「動揺防止制御装置」と「上下制振装置」を設置。左右方向の揺れだけでなく上下方向の揺れの低減を図ります。また、空気バネを使った車体傾斜制御装置の導入により、カーブ通過時における乗り心地の向上も目指します。
主回路機器は高速化と勾配区間での速度向上を目指すため高出力化を図り、台車単位で制御する方式も採用しました。主変換装置のスイッチング素子には、次世代半導体素子のSiCを採用し、機器の大型化を抑えつつ高出力化を図っています。
パンタグラフは従来型より騒音を抑えた新型を開発。形状は3号車と7号車で異なっており、比較検証が可能です。ひとつのパンタグラフだけで1編成を運転できるよう、すり板の形状も改良されました。
このほか、総合的に線路や車両の状態をモニタリングするシステムも構築します。高速運転を行った場合に生じる線路のゆがみや、車体や台車の振動などの測定データを収集。JR東日本は、このデータをメンテナンスで活用することで、安全、安定輸送の実現を目指すといいます。
アルファエックスはいつから乗れるの?