徹底解説! JR東日本の新幹線E956形試験電車「アルファX」
北海道での運転見据え空調を強化
車内は運転室を除き未公開(2019年5月9日時点)です。腰掛けは快適性とメンテナンス性、高速化のための軽量化の並立を目指して開発。リクライニングに連動した座面チルト機構の採用、脚台構造の変更による足元スペースの拡大、振動抑制機構の追加が行われました。その一方で構造を可能な限りシンプルにし、部品の交換作業や清掃作業の短時間化を図り、現場作業の負担軽減を目指したといいます。
JR東日本の開発担当者によると、いまのところ腰掛けは一部だけ設置されており、今後は様々なタイプの腰掛けを設置、交換しながら比較検証を進めるといいます。空調装置は小型軽量化を図ったほか、北海道新幹線の札幌延伸を見据えて暖房性能を強化。JR東日本は、外気が氷点下30度でも快適な車内を提供するとしています。
「ALFA-X」の開発を担当したJR東日本研究開発センターの小川一路所長は、2019年5月9日(木)の報道公開で、「再チャレンジ」となる360km/hの営業運転について「『FASTECH』から何年もたって、いろんな機器が小型化され、車体の形も環境に優しいデザインに進化しました。こうした複数の技術の進歩を混ぜ込んでいくと、より実現に近いものがあると思います」と話しました。
一方で小川所長は「360km/h運転は車両だけでできるものではありません。(線路などの)地上設備の環境対策なども必要です」と述べ、車両と地上の両面から360km/hの営業運転を実現させる方針を明らかにしました。
JR東日本は2022年3月まで、東北新幹線の仙台~新青森間を中心に「ALFA-X」の走行試験を実施。360km/h運転のほか、400km/h程度の走行試験も数回程度行う計画です。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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