F-35なぜ「次世代機相当」へ進化できるのか? LM社が発表した「性能向上改修」とは

戦いも性能向上もやはり「数」が力に

 ブロック4の開発はソフトウェアが80%を占め、予想されるコストは10億8000万ドル(約1100億円)であり、これはF-2戦闘機の開発費のほぼ半額に匹敵し、うち7割をアメリカが負担します。

 F-35の発注はすでに3000機を大きく上回っており、2023年までに1000機の生産が完了する見込みです。そしてブロック3Fからブロック4へのアップグレードには、米軍配備機のみで105億ドル(約1兆円)が必要であると見積もられています。

 F-35はブロック3Fに達するまでに、555億ドル(約6兆円)の研究開発費を要しました。現代戦闘機はばく大な研究開発費が必要であり、設計寿命である30年から50年の運用期間においては性能向上も欠かせません。

 今後ブロック5、ブロック6と性能向上し続けることになるF-35は、その都度、数百億から千億円単位の開発費が必要となります。しかし、すでに3000機以上の生産が決まっているF-35は、将来にわたって必要な研究開発費の1機あたりの額を非常に小さく抑えることができます。

 性能向上は、ほかの戦闘機においても必要となります。これに要する研究開発費は膨大な額ですが、F-35は生産機数がけた違いであるため、1機あたりで考えれば極めて安価に最新鋭機と同等の能力を維持し続けられるという大きな強みを持っています。

 日米欧などいくつかの国においては、21世紀中ごろの実用化を見込む次世代戦闘機コンセプトがすでに発表されていますが、こうした次世代戦闘機の開発を具体化させるには、まずは圧倒的なコストパフォーマンスを武器に性能向上し続けるF-35を「あえて選ばない口実づくり」に苦労することとなるでしょう。

【了】

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