日本のど真ん中、東海・北陸の高速バス事情 外国人が押し寄せる山間部 海沿い路線も変化
東京、名古屋、大阪の三大都市圏へ多数の高速バスが発着する東海・北陸地方ですが、北陸新幹線の開通により、その流れに変化が生じています。一方、太平洋側と日本海側を隔てる山間部は、外国人の高速バス利用が急増しています。
新幹線開通で「明暗」分かれた北陸の高速バス
北陸地方では1980(昭和55)年に富山、石川、福井の3県都が北陸道で結ばれ、1980年代後半に高速バスの路線開設ブームを迎えました。特にこれら地域と名古屋との結びつきは強く、金沢と福井から昼行路線が1時間間隔といった高頻度で運行され、その後、富山~名古屋線も開設されました。
首都圏への路線も、当時は鉄道だと乗り換えが必要なケースが多かったこともあり、片道8時間前後もかかる長距離の割には高速バスのニーズが大きく、一般的な夜行便に加え昼行便も設定されました。一方、京阪神と北陸は交流も極めて大きいものの、そのぶん北陸本線の特急「サンダーバード」が便利なこともあり、名古屋方面と比べると便数は多くありません。
2015年に北陸新幹線が長野から金沢まで開業すると、高速バスは路線によって明暗が分かれました。マイナスの影響があったのは、新幹線で東京駅と直結した石川県、富山県と首都圏を結ぶ長距離路線です。両県から首都圏への出張客などは、朝早くから、また夜遅くまで都心で活動できるようになり、「時間を有効に活用したいから夜行高速バスで」という乗客は新幹線に流れました。2017年5月には、東京~富山線(西武バス/富山地方鉄道)と東京~高岡・氷見線(西武バス/加越能バス)が統合されたほか、東京~金沢線(西武バス/ジェイアールバス関東/西日本ジェイアールバス)も減便を繰り返しています。
一方、プラスに転じた路線もあります。名古屋~富山線(名鉄バス/富山地方鉄道)は、東海北陸道の全通により2008(平成20)年に経路変更されて所要時間が短縮されていたうえに、新幹線の開業にともない、名古屋~富山間を直通していた北陸本線経由の特急が金沢発着となったこともあり、乗客数が大きく増えました。新幹線開業時は10往復でしたが、ダイヤ改正を繰り返し、2019年7月現在で14往復に増便されています。今後、新幹線の敦賀(福井県)延伸により、金沢、福井と名古屋、京阪神とのあいだでも直通の特急廃止が予測されることから、これらの区間で高速バスが乗客数を増やすことができるか、注目されます。
静岡~御前崎線(現在は静岡~相良線)は高速経由の単なる一般路線ですから、
静岡県からは一時期高速バスはほぼ絶滅したと言ってしまっても過言でないのでは?