陸自が「対艦」攻撃能力アピールのワケ ルーツは冷戦時代 改めて内外に誇示の背景は?

有事にはおもに地上の敵戦力と対峙する陸上自衛隊ですが、実は海上の敵にも対応できる能力を保持しており、ルーツは冷戦時代にあります。「総火演」のプログラムにも見られますが、これは冷戦時代とは異なる情勢を反映してのものです。

陸自が配備する地対艦ミサイルとは?

 2019年現在、陸上自衛隊では1988(昭和63)年から配備が開始された「88式地対艦誘導弾」と、この88式の後継として2012(平成24)年から配備が開始された「12式地対艦誘導弾」という、2種類の地対艦ミサイルを運用しています。

 88式地対艦誘導弾は、6発のミサイルを装填するトラック搭載式の発射装置と、洋上の目標を捜索する車載式レーダー、さらに指揮統制装置や射撃管制装置といった複数のシステムが組み合わさって構成されています。最大射程は約100kmとされていますが、この長大な射程を活かすために、88式地対艦誘導弾は海上自衛隊のP-3C哨戒機から、音声通信を介して遠方にいる目標の情報を受け取り、射撃することが可能です。

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陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾。発射筒が12式は角型なのに対しこちらは丸形(画像:陸上自衛隊)。

 現在、88式地対艦誘導弾は、北千歳駐屯地(北海道千歳市)の第1地対艦ミサイル連隊、美唄駐屯地(北海道美唄市)の第2地対艦ミサイル連隊、上富良野駐屯地(北海道上富良野町)の第3地対艦ミサイル連隊、八戸駐屯地(青森県八戸市)の第4地対艦ミサイル連隊にそれぞれ配備されています。

 一方で「12式地対艦誘導弾」は、発射装置やレーダーといったシステム構成こそ88式と変わりませんが、射程は150kmから200kmと延伸しているほか、海上自衛隊のP-1哨戒機と音声ではなくデータリンクを介して目標情報を受け取ることができます。加えて飛翔中のミサイルへもP-1などから得られる目標情報を継続して送信できるため、命中精度が向上しています。現在、12式地対艦誘導弾を配備する部隊は、教育部隊を除けば唯一、健軍駐屯地(熊本市)の第5地対艦ミサイル連隊だけです。

 最近になって、陸上自衛隊は冷戦時代から続いてきた北方重視の姿勢を転換し、南方重視、特に南西諸島を中心とする離島防衛を主軸とする体制を構築しています。その代表的な動きとして、2019年4月には奄美大島に新設された瀬戸内分屯地に、先述した第5地対艦ミサイル連隊隷下の、12式地対艦誘導弾を配備する第301地対艦ミサイル中隊が配備され、さらに2020年以降には宮古島と石垣島にも駐屯地を新設し、そこに12式地対艦ミサイルの部隊が相次いで配備される予定となっています。

【図】意図は明白、南西諸島の新設駐屯地

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