異様にツイてる駆逐艦「雪風」のヒミツ 旧海軍屈指の強運はいかにしてもたらされた?

旧日本海軍の駆逐艦「雪風」といえば、数々の修羅場をくぐり抜けたにもかかわらず、ほとんど損傷らしい損傷を受けることなく終戦を迎えた超絶強運で知られる艦です。やはり、そこまでの運を呼び込むだけの、それらしい背景がありました。

運も実力の内、ホワイト職場がたぐりよせる強運

「雪風」と同じ第二水雷戦隊に所属していた駆逐艦「冬月」の乗組員が、砲術指導で「雪風」におもむいた際、艦内や部署が清潔であることに驚きます。現代では職場の安全、健康、生産性向上を図るものとして、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」の頭文字をとった4Sという言葉を聞きますが、「雪風」はこの4Sが徹底されていたようです。この乗組員は、「雪風」艦内は他艦とどこか違う雰囲気を感じたと回想しています。

Large 20190913 01
連合軍に接収後、1947年5月26日に撮影された「雪風」の艦橋外観。艦橋屋根に人が立っておりサイズ感が分かる(画像:アメリカ海軍)。

 職場や学校のクラスにも「はつらつとした」とか「どこか空気がよどんだ」というような「空気感」があることと思いますが、艦にもそれぞれ、個性のように艦内の「空気感」というものがあるそうです。上述のように、「雪風」はいまでいう4Sが行き届き、良い空気感だったことがうかがえます。

 駆逐艦「冬月」の元士官は、「雪風」も参加した第二水雷戦隊による応急処置訓練の際、「訓練ではいつも『雪風』が群を抜いて早く正確に応急処置ができていた。日頃の訓練の成果が好運艦、強運艦を生んだのであって、単に偶然が好運艦を生んだのではないと感じた」と述べています。

  また元海軍大尉で、作家、評論家の阿川弘之氏は、歴代艦長の調査や取材から「雪風」は訓練がよく行き届いた艦であるとし、幸運艦といっても「自ら助くるものを助くといった筋の通ったものの様だ」と評価しました。

 行き届いた4Sや訓練でも好成績をキープし続けることは、艦長など幹部の上からの押し付けではなく、乗組員ひとりひとりが評価されてより奮起する「ポジティブ思考が更に成果を上げる」という、艦内の空気が大きく影響したようです。これが乗組員の練度を高め、艦としてのパフォーマンスを向上させ、戦果を挙げて生き延び、結果として「強運艦」と呼ばれるようになったのです。いまでいう「ホワイト職場」といったところでしょうか。

【写真】アナログ計器や伝声菅が並ぶ駆逐艦「雪風」のブリッジ内観

最新記事

コメント

3件のコメント

  1.  阿川弘之氏は元海軍少尉ではなく、元海軍大尉だったと思いますが?

     雪風は単に「1965(昭和40)年12月16日に退役。そののち解体」ではなく、(日本への返還が決まっていたがその前に)座礁し修理をあきらめ退役、解体。

     その為、舵輪と錨が返還された。のでは?

  2. 寺内艦長が爆弾回避の上手い人だったのは事実のようだけど、それだけで生き残れるものでもない。最後の天一号作戦時の第一遊撃部隊の陣形図が大和ミュージアムにあるから見てみると興味深い事に気づく。ネットでも調べたら出てくるから、雪風が生き残れた理由を色々推理してください。

    • いやそこは教えてくれよ。そんなとこまで行く暇ないよ涙

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  5. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号