旧海軍空母「赤城」の大試行錯誤 堂々の三段甲板や20cm砲はなぜ設置され撤去された?

旧日本海軍の空母「赤城」は「航空母艦」なるもののスタイルが確立されていくまさにその過程にあった艦であり、大いに試行錯誤がなされました。当初はその象徴たる三段構えの飛行甲板のほか、実は重巡洋艦並みの主砲も搭載していました。

そして海戦の主役へ…その陰で

「航空機優位」を確立したのが、真珠湾攻撃2日後の12月10日に起きた「マレー沖海戦」です。日本海軍の陸上基地航空隊がイギリス東洋艦隊の戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋戦艦「レパルス」を攻撃し、航行中の戦艦を航空機だけで撃沈した世界初の海戦となりました。

 こうして空母が海戦の主役となる時代が幕を開け、「赤城」は東奔西走することになりますが、国民からの人気とは裏腹に、戦艦からの無理やり改造の連続で雑な造り、艦内は迷路の様で使い勝手も居住性も悪く、乗組員の評判も悪いものでした。

 艦長以下幹部は「軍艦はお化粧よりも戦いが先だ」との考えで、いわゆる4S(整理、整頓、清掃、清潔)はおろそかにされ、艦内は雑然として汚かったとか。「強運艦」と呼ばれた駆逐艦「雪風」とは真逆の環境で、艦の「空気感」は良いものではなかったようです。

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「ミッドウェー海戦」にてB-17の爆撃を回避する「赤城」。同機の高高度水平爆撃は命中精度こそ悪いが、爆弾に加速度がつき当たると大ダメージに(画像:アメリカ空軍)。

 1942(昭和17)年6月5日の「ミッドウェー海戦」で爆弾2発を被弾し、火災が発生しますが消火できません。沈没こそしませんでしたが、焼け焦げて動けない巨大艦はどうすることもできず、翌6日に第四駆逐隊(「嵐」「野分」「萩風」「舞風」)の魚雷によって処分されました。

 こうして元戦艦だった「赤城」はたった2発の爆弾で失われます。日本の艦船はダメージコントロール能力が低く、大型艦でも少ない被弾で失われる例がよく見られます。この戦訓から日本海軍はダメージコントロール能力にも目を向けるようになりますが、どこまで実現できたかは別問題です。

 建造から実戦まで、日本空母の先駆けとして紆余曲折を経た「赤城」は、戦艦「長門」と並ぶ人気艦でしたが、緒戦で失われてしまいます。良くも悪くも日本海軍を象徴する艦であることは間違いありません。

【了】

【写真】並ぶとわかるその大きさ、空母「赤城」と戦艦「長門」

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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