中国が新型「軽」戦車を作ったワケ 対戦車戦は無理! 特異なスペックに見る意図、背景

中国が新規開発し運用を始めたとある戦車は、対戦車戦など眼中にないようで、装甲も武装も強力とはいえません。それはまるで、かつての「軽」戦車のよう。伝えられるわずかな情報と写真や映像から、その開発意図を読み解きます。

戦車と「青海チベット高原鉄道」

 また、前述の紹介記事では4000kmを移動してきたということですが、戦車が自力で走ってきたわけではありません。履帯式車両(いわゆるキャタピラ車)は長距離移動が苦手であり、輸送車や鉄道で運ばれるのが一般的です。

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砲塔部のアップ。乗員用ハッチはリブ(X状のうね)を入れるほど薄いのが分かる。ボルト留めの、追加装甲の取り付け方にも注目(2019年10月1日、Gordon Arthur撮影)。

 2006(平成18)年7月に、中国西部の青海省西寧とチベット自治区首府ラサ(拉薩)を結ぶ高原鉄道、「青蔵鉄道(青海チベット鉄道)」が開業しています。厳しい環境に鉄道を敷設するのは大変な難事業で、建設期間は2期に分けて22年、一説には4500億円に上るといわれる莫大な建設費をかけて敷設され、世界最高所の標高5072mを通る旅客列車は、風光明媚な車窓が売り物で観光ツアーも行われています。しかしこれは、決して観光鉄道などではありません。中国中心部とチベット地域を政治経済的に結びつけるための、戦略的な鉄道です。

 今回のパレードに参加した「15式軽戦車」も、おそらく青蔵鉄道を使ったものと思われますが、この鉄道を使えば逆に、増援戦車部隊を北京からチベットへ容易に送り込めるということにもなります。

 チベットは内政的にも不安定な地域です。中国政府が莫大なコストをかけて高原鉄道を敷設したり、高地戦用軽戦車を作ったりする意味は何なのか、考えなければなりません。

【了】

【図解】「15式軽戦車」車体前部のセンサー類を読み解く

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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