世界最先端! WW2期ドイツ戦車の「戦後」とは? パンター戦車に見る21世紀の現役技術

21世紀になってもなお生き続けるドイツ戦車技術

 さらにイスラエルやエジプトは、自軍が装備する中古のM4「シャーマン」戦車の火力を強化するために、AMX-13軽戦車の75mm砲を移植し、独自の改良型を各々生み出しました。イスラエルは主砲のみの換装でしたが、エジプトは砲塔ごと移植し、M4「シャーマン」の車体と合体させました。いわば、敵国同士であった米独戦車の融合です。

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戦後フランスが開発したEBR戦闘偵察車。同車の75mm砲は「パンター」の7.5cm砲が原型(2017年6月、柘植優介撮影)。

 その後AMX-13軽戦車は、火力強化のために主砲を90mm砲に換装しますが、この90mm砲は、前述の75mm砲の口径アップ型で、「パンター」の7.5cm砲の進化版といえるものでした。

 AMX-13軽戦車は小型高性能な戦車として輸出にも成功し、世界20か国以上で採用され、いまだにペルーやインドネシア、モロッコなどでは現役です。同車は90mm砲搭載の後、さらなる火力強化のために主砲を105mm砲に換装しましたが、ペルーやモロッコ、ベネズエラなどが使用する車体は、いまだに前述の「パンター」戦車由来の75mm砲もしくは、発展型の90mm砲のままです。

「パンター」戦車が生まれてからすでに75年以上経っています。しかし21世紀に入った今日においてもなお、パンターの技術は現役で使われ続けています。

【了】

【写真】WW2末期、イギリス陸軍が使った「パンター」

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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