悩む戦車 密閉度高いと射撃排煙で乗員酸欠 低いとNBC防護ダメ どうすれば…

戦車は防御力を確保するために開閉できる部分が最低限に抑えられ、空気がこもりやすいものです。砲弾を火薬で飛ばすため、かつては酸欠も大きな問題に。現代にいたるまでのその対策の変遷には、背景となる時代も透けて見えます。

核戦争下では外気のシャットダウンが不可欠

 やがて1949年8月に旧ソ連が初の核実験に成功し、1950年代になると核戦争の脅威が現実のものとなります。

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富士総合火力演習で実弾射撃したあと砲口から排煙する10式戦車(2012年8月、柘植優介撮影)。

 放射能やそれを帯びた塵が大気中を漂うなかでも戦車が行動するためには、それらを車内に入れないことが必須となりました。そうなると、今度は外気を車内に入れないために密閉性が求められ、これまで必要とされていたベンチレーターが撤去されるようになったのです。

 また同時期に、ベンチレーターに代わるものとして、戦車砲に取り付ける排煙機(エバキュエーター)が開発されます。これは砲身先端や中ほどでひと回り太くなっている部分にあるもので、ここに一時的に排煙(燃焼ガス)をため、砲弾を発射したのち、時間差で排煙が砲身に流れ、砲口から放出されます。これにより、薬室などの砲尾から車内に排煙が流れ込むことが少なくなりました。

 排煙機が普及したことで、現代の戦車はベンチレーターを装備しなくなりました。その後、排煙機もスリム化し、10式戦車などでは目立たない形状になっています。また、2015年に初めて登場したロシアの最新鋭戦車T-14では、砲塔が無人化されたため、排煙が砲塔内に流入しても問題なくなった結果、排煙機のない戦車砲を装備するようになっています。

 火薬の燃焼エネルギーを用いて弾を飛ばしている以上、その排煙や燃焼ガスの処理問題はついて回ります。それらをクリアするためには、前述したような砲塔の無人化か、もしくは火薬に代わる新たなエネルギーを発明するしかなさそうです。

【了】

【写真】主砲換装してベンチレーターと排煙機の両方を備えた中国の59式戦車

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子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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