F-4「ファントムII」と共に半世紀 愛されキャラ「ファントム ザ スプーク」って何者?
日本ではあまり知られていないかもしれないワケ
日本の航空自衛隊でF-4の運用が開始されたのは1971(昭和46)年のことですが、当初は記念塗装などに「ファントム ザ スプーク」を用いることはあまりなかったようです。記念塗装やイベントなどで「ファントム ザ スプーク」がよく見られるようになったのは、2000(平成12)年以降のことです。ただ、航空自衛隊の各部隊にはさまざまな由来を持った部隊マークがあるため、なかなかメインキャラクターとして取り上げられることはありませんでした。
それでも「ファントム ザ スプーク」は、部隊を超えたF-4のキャラクターとして、長く愛され続けていきました。世界的に見ても、部隊や国を超えて、愛され続けている戦闘機のキャラクターはほかにいないように筆者(凪破真名:歴史ライター・編集)は思います。「ファントム ザ スプーク」はF-4の広報担当としてしっかりと役割を果たしたといえます。
2018年、航空自衛隊百里基地(茨城県小美玉市)でお披露目された第302飛行隊のF-4EJ改の翼には、大きく「ファントム ザ スプーク」の姿が描かれていました。また2019年には、引退を記念するRF-4Eのスペシャルマーキング機にも、小さく控えめにその姿が描かれています。エアインテークからひょっこり姿をのぞかせ、その手にカメラを構えており、偵察機であるRF-4Eの特徴を表しているようです。同年に見られた第301飛行隊のF-4EJ改記念塗装には、その姿は描かれていませんでしたが、百里基地の航空祭には、第301飛行隊のマークであるカエルと同じ黄色いスカーフを付けた、「ファントム ザ スプーク」のコスプレをした航空自衛隊隊員が、ファンからの撮影の要望に応じていました。
2019年12月現在、F-4は世界中で退役が続いており、航空自衛隊から姿を消すのもそう遠くありません。しかしその来歴と、「ファントム ザ スプーク」という同機と共に愛されたキャラクターがいたことは、ずっと後世まで語り継がれていくことでしょう。
【了】
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
大変面白い記事を読ませていただきました。ありがとうございます。ファントムザスプークってf-4の最後尾にある、あの顔のことかと思っていました。