高速バス業界のジレンマ 多い若年利用者 高いコンビニ決済割合 柔軟な予約実現の壁に
高速バス「決済額の変更」可能なサービスが今後のカギを握る
コンビニ決済はいちどしてしまうと、差額が発生する予約変更への対応が面倒です。元の予約を取り消したうえで新しい便を予約決済するしかないのですが、元の予約の返金には金融機関などの手数料が必要なうえ、不正乗車防止のため元の券を発行元に郵送する必要があるケースもあり、利用者に負担がかかります。その点、差額の追加または返金が発生してもオンラインで自動的に処理されるクレジットカード決済が有利なのです。
そもそもコンビニ決済は、不正乗車を防止するため、乗車時に「紙のきっぷ」を確認し回収したいというバス事業者の希望から誕生しました。しかし、前述のとおり最新の予約、決済状況をタブレット端末で確認できるようになり、「紙のきっぷ」は不要になっています。コンビニ決済は徐々にその役割を縮小しており、ウェブ予約限定の割引運賃を設定していても、コンビニ決済の場合は割引対象外とする事業者もあります。ただ前出のように、高速バスはクレジットカードを持たない人の利用が多いケースもあり、この構造が、柔軟な運賃施策を進めるにあたって、ひとつの課題となっています。
ウェブ通販や旅行予約サイトなどに目を転じると、複数のサイトでの決済金額を取りまとめ、一括して後日に銀行振込などで支払う「後払いサービス」が急速に伸びています。このサービスは、クレジットカード決済と同様に決済金額の変更へオンラインで対応するうえ、カードを保有しない若年層や高齢者、あるいはカードの情報をウェブ上で入力することに抵抗を感じる人も気軽に利用できます。
今後は、従来からのコンビニ決済に代わり、このような新しい決済方法を導入するバス事業者も増加すると考えられます。
【了】
Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。
コンビニ決済は、いつか廃止になるでしょう。
スマホで完結するスタイルに移行していくかと感じます。
ただ、後払いでコンビニで支払いをするのは残りますね。
一部の事業者では、順次切り替えを進めています。
当日乗車の窓口は残るものと感じます。