最強戦闘機F-15「イーグル」 いまなお抱える「持病」 背景にロシア戦闘機の影

F-15は欠陥を克服できたのか?

 良くてエンジン停止、最悪だと爆発を引き起こすストール・スタグネーションは、高高度や低速時、急旋回時など機体の進行方向と実際の機体の姿勢の差「迎え角」が大きくなった状態において、急激にアフターバーナー(最大パワー)へとスロットルを上げた際に多発しました。

 1977(昭和52)年の時点でF-15は、1000飛行時間あたり4.4回スタグネーション・ストールが発生し、これは第一線パイロットが年に1回は遭遇するという高頻度でした。1979(昭和54)年までに累計547回、エンジンが停止し、地上には破損したエンジンを抜き取られ、飛べなくなったF-15が大量に並ぶという事態にまで至ります。

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F-16の固定式空気流入口。F-15と同じエンジンながらもストール・スタグネーション頻度は低かった。中央の支柱は高負荷Gの変形を防止する(画像:アメリカ空軍)。

 この問題は同じF100エンジンを使用し、かつ単発機であるF-16戦闘機では、より重大となると思われました。しかしF-16ではF-15ほど高頻度には発生しませんでした。なぜかF-15だけに集中して見られる、固有の問題だったのです。

 1980年代以降は、問題の改善への取り組みや新しい電子制御式エンジンF100-PW-220Eの搭載によって、ストール・スタグネーション頻度は1/10以下となり、一応の解決を見ました。

 しかしながら現在もなお、航空自衛隊を含めF-100-PW-100エンジンを搭載するF-15は現役であり、そうした機体に搭乗する際は、パイロットに急激なスロットル操作を行わないよう技術指示を出すなどの処置が継続しています。ストール・スタグネーション問題は完治するには至っていない、F-15の「慢性疾患」であり続けているのです。

【写真】比べれば一目瞭然 F-15の「可変式空気流入口」作動前後

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コメント

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2件のコメント

  1. 100機以上を撃墜…ミサイルで落としたんですよね?ならば自軍は飛行機を飛ばすより高性能な地対空ミサイルを配備すれば済むのでは?

    • 地対空ミサイルだけではそれを配備したエリア内でしか対応できません。極端に射程を長くしても命中率が下がります。相手に対して能動的に動き、場合よっては目視で確認する必要があります。ドネツクやイランの様に民間機を撃墜する訳には行きません。