悲劇の運命 アメリカ海軍の「空飛ぶ円盤」XF5U なんと初飛行前にスクラップ

「空飛ぶ円盤」は、なにもSFや超常現象の世界に限った話ではありません。航空工学において「円盤翼」は、世界中で研究されてきました。そのようななか、アメリカ海軍は第2次世界大戦において、戦闘機として用いようとしました。

露呈した「戦闘機として致命的な欠点」とは?

 そのうえ、XF5U自体が大きな欠点を持っていました。それは戦闘機として致命的な、ロケット弾などの前方へ投射(発射)する兵器が搭載できないという点です。

 円盤翼は翼幅が著しく短いうえに、空気の渦、翼端流への対処から、左右の端にプロペラを取り付ける構造でした。もちろんプロペラの回転範囲内に、上述のようなロケット弾などの前方投射兵器を装備することはできません。しかも、XF5Uが装備するプロペラの回転範囲は、機体の前面をほぼ覆ってしまう設計でした。

 翼内機銃はエンジンに同調させ、プロペラに当たらないよう射撃できる装置が実用化され久しいため何とでもなりますが、ロケット弾など外付け式の武器を積めないのは、大戦後の戦闘機としては致命的でした。

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XF5U-1戦闘機の背面写真。垂直尾翼に「NAVY」と記されている(画像:アメリカ海軍)。

 こうして、滑走距離以外ジェット機に勝るメリットがほとんどないXF5Uは開発意義を失い、1947(昭和22)年に新型プロペラが完成したものの、直後の同年3月に開発計画は中止となり、結局、初飛行しないままスクラップに回されました。

 ちなみにXF5Uの構造は、ヴォートが特許をとった「メタライト」という、バルサ材とジュラルミン板の複合材が主体で、堅牢なため、解体時も既存の航空機の処分方法が通用せず、一説では鉄球を落として破壊したそうです。

 また円盤翼は、胴体と一体で分解できず、鉄道輸送などにも不向きだったそうです。そうなると、たとえ翼幅が狭く機体がコンパクトとはいえ、分解輸送できないのでは、前述の武装の件も含めて兵器としては使えなかったといえるでしょう。

 なお、XF5Uは前述の通りスクラップになってしまいましたが、技術実証機であるV-173はテキサス州ダラスにある「フロンティアオブフライトミュージアム」で保管展示されているので、その面影を見ることは可能です。

【了】

【写真】円盤翼テスト機 V-173の空飛ぶ姿

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

1件のコメント

  1.  試作機に3枚プロペラを装着・・・という記述は誤りです。

     4枚プロペラを装着しています。

     3ページ目の写真を見れば明らかです。

     2ページ目の3枚プロペラを装着しているのはモックアップです。

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