大型イベント相次ぐ中止 新型コロナ対策はあるのか? シンガポールエアショーの場合

新型コロナウイルスどう対策? 「シンガポールエアショー」の場合

 現時点で「シンガポールエアショー」の来場者からコロナウイルスの感染者が現れていないのは、ショー主催者の徹底した来場者のチェック体制によるものなのではないかと、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は感じました。

 ショーの会場であるチャンギ・エキシビションセンターへの交通手段は、自家用車かタクシー、あるいは大規模展示会場「シンガポール・エキスポ」から出るシャトルバスの3つがあり、大多数の来場者はシャトルバスを利用します。

 ショーの主催者はシャトルバス利用者のために、シンガポール・エキスポの建物のひとつを借り切り、そこで利用者の体温を測って、問題の無い利用者には平熱であることを証明するシールを渡し、そのシールを付けている利用者のみがシャトルバスに乗車できる仕組みとなっていました。

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シャトルバスには識別番号が振られ、利用者はその番号を控えておくようアナウンスされていた(竹内 修撮影)。

 またバスには1台1台に識別番号が与えられており、利用者にその番号をスマホなどで控えて一定期間、保管し、万が一発熱などの症状が発生した場合にはバス識別番号とともに報告するよう求めていました。こうすることで、シャトルバスの利用者から発症者が発生していないかを確認するとともに、感染ルートの特定が困難にならないよう備えておくというわけです。

 会場入り口の前にもエアテントを設けて、そこで来場者の体温を測っており、問題の無い来場者だけがその先の入り口に進める仕組みでした。タクシーや自家用車を利用してやってきた来場者は、ここで体調をチェックされ、入場可能を意味するシールが渡されて、入場口に進めるという仕組みです。

 筆者が会場内で、視察に訪れていた日本航空宇宙工業会(SJAC)の幹部に話を聞いたところ、今回の「シンガポールエアショー」で主催者が行なった対策は、非常に参考になったと話していました。

 国民の安全を確保しつつ、開催中止による経済的な損失を最小限に抑えるために「シンガポールエアショー」の主催者が行なった対策は、「東京オリンピック・パラリンピック」を控えた日本にとって、学ぶべきところが大いにあるのではないかと筆者は思います。

【了】

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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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