前面展望 楽しめなかった国鉄特急電車から大変身したJR車両 381系パノラマグリーン車
見えやすいよう座席にも工夫した381系パノラマグリーン車
JR西日本の381系パノラマグリーン車は、まず特急「スーパーくろしお」として京都~新宮間でデビュー。1994(平成6)年には追加で改造された車両が、岡山と山陰を結ぶ特急「スーパーやくも」にも投入されました。座席はのちに、2列+1列で横3列のゆったりしたものに交換されましたが、そのヘッドレストは幅を狭くした“特別仕様”で、後ろの列からも前方の景色が見えるように配慮されました。
JR西日本は、これ以外にも京阪神と北陸を結ぶ特急「スーパー雷鳥」用として、485系電車改造のパノラマグリーン車も送り出しています。
これらパノラマグリーン車はいずれもスマートな流線形の前面で、各社のスター的存在として活躍しましたが、老朽化に伴って徐々に姿を消し、現在は特急「やくも」用の車両が残るのみです。なお、JR東海では特急「しなの」から引退したパノラマグリーン車をリニア・鉄道館で展示していましたが、2019年に惜しくも搬出・解体されました。
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Writer: 伊原 薫(鉄道ライター)
鉄道ライター。乗り鉄・撮り鉄のほか、鉄道旅で酒を楽しむ「飲み鉄」や列車を貸し切って遊ぶ「借り鉄」の普及に勤しむ。最近は、鉄道と地域の活性化アドバイザーとしても活動中。好きな発車メロディはJR北千住駅。
JR西日本の特急列車(681系、683系や283系、287系など)の1号車がグリーン車になっているのはパノラマグリーン車の影響であると考えられる。