迫るタイムリミット 陸自の次世代「観測・戦闘ヘリ」どうなる? 米陸軍はFARA計画推進

アメリカ陸軍は従来の偵察軽攻撃ヘリコプターに代わる新しい攻撃偵察航空機の計画を開始していますが、同様の任務を担う陸上自衛隊のヘリコプターも退役が迫っており、他人事ではありません。その現状と今後の見通しを解説します。

対戦車ヘリ、戦闘ヘリもタイムリミット迫る

 陸上自衛隊は2019年3月末の時点で、AH-1Sを55機、AH-64Dを12機保有しています。67機という対戦車(戦闘)ヘリコプターの保有数は、イギリス陸軍(AH-64D 50機)などを数の上では上回っており、一見すると磐石にも見えます。

 しかしAH-1Sは生産終了から20年以上が経過し、予備部品のストックが減少しており、別の機体から使える部品を取り外して修理を行なう、いわゆる「共食い整備」を余儀なくされているため、55機すべてが稼動できる状況にはありません。

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陸上自衛隊のAH-1S「コブラ」対戦車ヘリコプター(画像:陸上自衛隊)。

 AH-64Dは2020年現在でも一線級の戦闘ヘリコプターですが、アメリカ陸軍の運用するAH-64Dを、より能力の高いAH-64Eに改修するアメリカ国防総省は、AH-64Dのサポートを、2025年をもって打ち切る方針を明らかにしています。

 AH-64Dは複雑な回転翼機であるが故に稼働率は高くなく、サポート打ち切りにともなう予備部品の不足で、さらなる稼動率の低下が懸念されています。このためイギリス陸軍をはじめとするAH-64Dの導入国は、保有するAH-64DをAH-64E仕様にアップデートする改修作業を進めていますが、現時点で陸上自衛隊にその計画は無いようです。

 防衛省内には、観測ヘリコプターや対戦車(戦闘)ヘリコプターが担当している任務をUAVでまかなうという考えもあるようですが、アメリカ陸軍のFARAをはじめ、世界各国の陸軍では依然として偵察ヘリコプターや戦闘ヘリコプターを導入する計画が存在しているという現実を踏まえて、陸上自衛隊の航空戦力の将来像を考えるべきなのではないかと筆者は思います。

【了】

【写真】2020年3月全機退役 陸自の「空飛ぶタマゴ」OH-6D ほか

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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