東京メトロ丸ノ内線 なぜ「コ」の字型? 見方を変えると放射状 都心を目指した2路線
私鉄のターミナル駅から都心を目指した2路線 その地とは
丸ノ内線の路線図は池袋駅から東京駅を経由して新宿駅に向かう路線として見ると、不思議なコの字型をしていますが、東京駅を起点に考えてみると、東京駅から池袋駅へ、および東京駅から新宿駅へと、放射状に延びるふたつの路線がつながった形をしていることが分かります。つまり丸ノ内線も、「放射状の路線を都心で繋げてスルールートを構成する」という原則から外れた路線ではありません。
では、なぜ池袋、新宿と東京駅を結ぶことにしたのでしょうか。
丸ノ内線は、銀座線に次いで、東京で2番目に古い地下鉄路線です。銀座線は浅草駅を起点に、上野から日本橋、銀座、新橋まで中央通りの地下を抜け、虎ノ門や青山を経て渋谷まで走ります。銀座線の開通により、東京駅の東側にある、日本橋を中心とする江戸以来の東京の中心地と、私鉄のターミナルである渋谷が結ばれました。
続いて東京に必要とされた地下鉄は、東京駅の西側、丸の内を中心とする新たな業務地域を通る路線、そして渋谷に並ぶ私鉄のターミナル駅である、新宿、池袋と都心を結ぶ路線でした。
そこで、池袋と丸の内を結ぶ路線と、新宿と丸の内を結ぶ路線が構想され、そのふたつを接続することで誕生したのが丸ノ内線でした。「丸ノ内線」という路線名には、実はそのことが深く刻み込まれているのです。
【了】
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
古典的な都市計画理論の一に、南北と東西の交通軸に対してU字型の半環状線をレイアウトすることから始める、という理論があったような?
東京の地下鉄はしばらくの間、丸の内の官庁街あたりを中心としてターナー型で建設されたから。
古い路線はあのあたりで全部交差してる。まあそれに都営と新しい新宿主体の路線が被さってるから
くっそ複雑なんだけど。