新型コロナ影響下 日本唯一の貨物専門航空会社NCAの奮闘 旅客便減の裏で物流を支える

新型コロナ下 NCAの努力や支えとは 感染対策ももちろん

――NCAのスタッフはこの状況下で業務に取り組む際、どのようなことに気を配っているのでしょうか?

 貨物量が増え、上屋(空港内にある貨物の積み降ろし、保管などを行う建物)の容量がひっ迫するなか、これまで以上に定時性確保を意識し事前準備を行っています。

 貨物引き渡しまでの時間を短縮できるよう貨物引取予定日時や不随事項を確認しながら、いつも行っていることをより強化することで、貨物の遅れが起きないよう取り組んでいます。そのように業務量が増えるなかでも、基本を逸脱しないよう、安全を最優先にサポートし合い、声を掛け合うなど、物流を支えるため一層の使命感を持って、日々一丸となって業務にあたっています。

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NCAのボーイング747-8F型機。「ジャンボ」の貨物型は機首部分が上に開く、ノーズカーゴドアを持つのが特徴のひとつ(2018年、恵 知仁撮影)。

――この状況下でスタッフは、どういったことを精神的な支えにしているのでしょうか?

 NCAは2018(平成30)年に自主運休したことがあり、そのときお客様に大変なご迷惑をかけてしまいました。今こそ「恩返し」するべき時と思っています。

 たとえば2020年2月15日、中国へ向けた郵便物が想定以上に多くなり、日々膨れ上がる郵便物の状況から、NCAを使って日本郵便が初めてチャーター(貸し切り)便を運航しました。そのときの郵便物の量は10tトラック15台分に相当する約9000個にも上り、あまりにも多く通常の積載方法を変えなければなりませんでした。安全性、正確性を確保しつつ、効率重視の運搬方法を特別に当局に認めてもらうなど工夫し、多くの難題を短期間でクリアできました。感謝の言葉をいただけたことは、私たちの支えになりました。

※ ※ ※

 NCAではこのほか、全社的にマスク着用、消毒や手洗いうがいの徹底のほか、事務所での2m以上の座席間隔を確保、事務所間の移動の原則禁止、パイロットは空港と宿泊施設間を専用車両で移動する、などの対策を講じています。

 なおNCAは2020年3月末に、パイロットが新型コロナウイルスに感染したことを発表しましたが、同パイロットが搭乗していた便に乗客はいなかったほか、貨物に直接触ることもなかったとのことです。

【了】

【写真】どれほど積める? NCA「ジャンボ」貨物機内部

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